2006年09月18日

平常公演「毛皮のマリー 人形劇版」

平常公演「毛皮のマリー 人形劇版」

平常(たいらじょう)公演「毛皮のマリー 人形劇版」
  作:寺山修司  監修:森崎編陸   演出・美術・人形操演:平常
   @こまばアゴラ劇場

9月5日(火)の午後三時開演の公演を観ています。
この日は、別件の用事もあったので職場は休みを取っていました。

私もこの公演を観るのはたぶん3回か、4回目になります。
何度観てもあきない公演です。
人形劇と聞いて、子供向け公演と思いこんでいる方も少なくないようですが、これは
大人向けの公演です。

もともとは作家・寺山修司が美輪明宏さんの為に当て書きした戯曲です。

(あらすじ)
40才の男娼マリーと、その血のつながらない息子・欣也は一緒に暮らしています。
どこかおかしいけれど、仲良く暮らしている母子。
実は、昔マリーをみんなの前で辱めた少女に復讐するため、マリーが金で人を雇って
彼女を襲わせ、そして生まれたのが欣也。
少女は出産後死んだので、その後マリーは、欣也を引き取って育てていたのです。
この子にさらに復讐をするために。
しかし、一緒に暮らしていくうちにマリーには実の母のような気持ちが芽生えて
いたのでした。
ある日欣也は、自分自身知らなかった自分の出生の秘密を知ってしまいます。
「母」と思っていたマリーから自分が憎まれていることを知り、自暴自棄になる欣也。
そして、マリーと欣也の関係はどうなるのか・・・。



と、こんなお話です。
これが子供向けになるわけがありません。
この公演の感想は観るたびに書いていますが、人形操作をしながら欣也も演じ、
さらに戯曲のト書きまで台詞として言ってしまうのは、この公演ではなんの不自然さも
ありません。

途中で時々、平さんが舞台の脇に行ってお盆にのったティッシュペーパーで鼻をかみ、
飲み物をのんでという様子は、この公演の東京公演を見た時が真冬の1月(2004年)
だったので、季節が季節だから風邪気味なのかな・・・と、思っていたのですが、これ
しっかり演出の一部でした(^_^;
もしかしたら、最初はほんとに風邪気味だったのでやっていたことが、演出として
残ったものなのかも知れませんが。

今回の公演は上演するたびに、演出が少しずつ変えられているようです。
話の途中で欣也に何かとちょっかいを出す「美少女」が登場するのですが、彼女は
物語の終盤、欣也に首を絞められます。
人形は頭を指に刺して操作している、片手遣い人形(=ギニョール)なのですが
この頭がポロリと落ちるシーンはちょっと衝撃的です。
以前は観客の方に人形の顔を向けて頭が落ちたと思いましたが、今回は平さん
演じる欣也と向かい合って(観客から観ると美少女の顔は横を向いてます)、その
状態で頭が落ちました。
これは以前の方が衝撃度が高いと思いました。

この日の公演では、初めの方でバスタブに使っているマリーが本を読むシーンで
肝心の小道具の本が、舞台にありませんでした。
どうも平さん、用意を忘れたようです。
「あら、本がないじゃないの」と、マリーさんになりきって言ってから、奥に引っ込んで
本を取りに行ってました。
舞台は生もの。こんな事もありますよね(^_^;


この日は、この公演の後、平さんの「アフタートーク」がありました。
いろいろ貴重なお話が聞けましたので、かいつまんでご紹介します。

平さんの家では、ご両親とも平さんが子供の頃から人形劇をやることに理解が
あったそうで、家ではTVの横に人形劇用の小さな舞台も作られていたそうです。

小学校では友人を誘って、学校で人形劇をやっていたが中学・高校になるとみんな
離れてしまったとか。

東京に来てからは、人形劇団が多いし、どの劇団も特に男性団員は大募集中で
大歓迎されたけれど、はたして自分がそこにいていいのかどうか悩み、それだったら
自分でやったらと、人に勧められてそうすることにした・・・のだそうです。
そうはいっても、以前は人形劇だけではとても食っていけないので居酒屋とか、いろ
いろとバイトも多くやっていたそうです。
そんな中で2004年4月から7月頃はとても落ち込んでいたそうです。
(て、ことは「毛皮のマリー」の東京初演を終えたすぐ後のことですね)
入っていた仕事も、キャンセルしようかと本気で悩んだとか。

「毛皮のマリー」は台本がある作品ですが、通常平さんが演じる人形劇には台本が
なくて、平さんの頭の中にだけ台本が入っているのだそうです。

大人向けの人形劇は10月に泉鏡花の「天守物語」の再演がありますが、新作は
来年夏か冬に「星の王子様」を東京でやりたいとのことでした。
(現在配布されているチラシに載っている今年の7月上演予定だった「サロメ」は
急きょ中止になって「毛皮のマリー」に差し替えられています。「サロメ」が観客が観ら
れるのはまだ先のようです)

人形は全て、手作り。一つに顔で、怒ったり、泣いたり、笑ったりみえたりしないと
ならないのでとても苦労するそうです。


「毛皮のマリー」の初演をやる前までは、きちんとした「練習」をやったことがなかった
という意外な言葉も聞けました。
イマイチよく分からないのですが、イメージトレーニングはしていても、何度もリハーサ
ルをして・・・という練習の仕方では無かった、と言うことのようです。
「毛皮のマリー」で初めて森崎編陸さん(寺山修司さんの弟さんだそうです)とお会い
した時、「今までなにやってたんだ!」と怒られたんだとか。



今は子供たちに人形劇を見せる仕事は、ほんとに楽しくて、今は責任を果たす喜びが
ある、と笑顔でおっしゃっていたのがとても印象的でした。

この日は、夜から平さんのワークショップがありました。
見学だけでもOK(1000円)だったので、参加させてもらいました。
この時の感想は、また後ほど書きますね。



2006年05月26日

平常 晦日ロングラン2006「毛皮のマリー」

平常晦日ロングラン2006


平常(たいらじょう)晦日ロングラン2006 「毛皮のマリー」@新宿 プーク人形劇場
 原作:寺山修二  人形操作・出演:平常

4月30日(日)観に行ってます
一人で人形劇を上演して、全国を飛び回っている平常さん
都内で4月から1,2ヶ月に一度のペースで各月の晦日に、コンスタントに大人向けの
人形劇を上演していこうという企画の第1弾です。
小さい子供たちに囲まれないですむので、こちらも安心して見られるというものです。

「毛皮のマリー」は、故寺山修二が俳優・三輪明宏にあてがきして書かれた戯曲。
毛皮のマリーと呼ばれている中年の男娼マリーと、彼が育てている息子の欣也との
物語です。
平常さんによる自作人形と、ご自身が出演しての今回の公演は「R15指定」人形劇。
以前にも上演されて好評をはくし「全国優秀人形劇顕彰制度・銀賞受賞作品」を
受賞しているそうです。
私も2年前の東京での最初の上演を観ています。

自分で操作する人形でマリーを演じ、マリーを演じつつご自身は欣也を演じる。
相当忙しい一人芝居を、難なく演じてみせてしまう平さんには本当に感心します。

両手で操作する人形「マリー」、片手だけで操作する人形「美少女」、マネキンを
使った「水夫」、スポンジ球をつかった「美女たちの亡霊」、仮面だけをつかった
「下男」など人形達の造形は独特ですが、どれも平らさんの個性とアイデアが
あふれています。

当日のパンフレットに平らさんが書いていますが、「大人のための人形劇公演に
人は集まりません。公演を興行として成り立たせるのは至難の業です(中略)
ときどき観れるでは意味がない。コンスタントに見ていただける機会を作らなくては
いつまでたっても定着しない・・・。そんな思いから、今回の晦日ロングランという
企画が誕生しました」とのこと。
全国飛び回りながら、この公演を行っていくことは大変なことですがそれを「うれしい
試練です」と書かれる平らさんの意気込みに、ファンの私もうれしくなります。
平さん、がんばって!とここで書くしかできないのがもどかしいです。

この日の公演は客席も満席。上演終了後は平らさん、ロングラン公演の初日
ということもあるのか泣いていました。
この後、うれしいことにお客さんにチョコレート(ロッテガーナチョコ)1枚の
プレゼントがありました。

このロングラン公演の今後の予定ですが
5月31日「毛皮のマリー」、7月31日は新作でオスカー・ワイルド作の「サロメ」、
10月31日は再演に泉鏡花作「天守物語」、12月31日「たいらじょうの人形劇
大全集」と続くそうです。
とても楽しみです!

ところで今回のチラシの裏を見ると、前回までの公演のお客さんの感想が匿名で
掲載されていますが、その中の二つがなんだか身に覚えのある文章でした。
つまり証明はできないけど・・・たぶん私の書いた文・・・。
私は演劇公演を見ると、渡されたアンケートはまずほとんど感想を書いて
出すようにしています。
こんな風に、公演チラシに感想文が使われたこと以前にもありましたが
やっぱりうれしいものです。

2005年12月07日

平常・人形劇公演「天守物語」

この頃、アクセス数が増えているのはうれしいのですがしょうもない
エロ系サイトにトラックバックされる事が増えてます。もちろんさっさと削除します!
ここSeesaaさんのブロクはそういうトラックバックを禁止する「禁止ワード」の登録も
出きるのですが、何かとすり抜けられてしまうようです(T.T)


平常(たいらじょう)人形劇公演「天守物語」@新宿 プーク人形劇場
 原作:泉鏡花   出演・演出・舞台美術・人形デザイン:平常

11月26日(土)たった一回限りの貴重な公演でしたので、しっかり行ってきました。

泉鏡花(1873−1939)の「天守物語」は、鏡花が存命中は舞台化されることが
なかったものの死後は何度も舞台化、映画化されてきた作品です。

映画は、板東玉三郎監督・主演の作品がありますが残念ながら観たことがありません。
舞台版は以前、歌舞伎公演版と劇団・花組芝居の公演を観たことがあります。
鏡花独特の美意識に貫かれた世界は、妖艶で不思議な物語でした。

花組芝居公演は鏡花のテキストに忠実におこなわれましたが、セリフの言葉が
かなかり古めかしく、なれない人は何を言ってるのかわからないだろうと思いました。
歌舞伎版は、セリフも内容もかなりわかりやすい公演になっていました。


姫路城、天守閣に住む美女・富姫(とみひめ、実は妖怪)と、若き鷹匠(たかじょう、
鷹を使って狩りをする人です)の姫川図書之介(ひめかわずしょのすけ)の恋物語。

会場は、初めていくプーク人形劇場。
客席106席のこぢんまりした劇場です。
一般の知名度はかなり低いようですが人形劇団プークは劇団として約70年の歴史が
あり、歌舞伎、能など古典芸能を抜かせば日本の劇団としてはもっとも歴史がある
のだそうです。(私も知りませんでした)

今回初めてこの作品に挑戦した平さん。まずは古めかしい言葉で書かれた作品を、
自分なりに読み込むのに時間がかかったそうです。

舞台の方ですが、もちろん登場する人間は平さんだた一人。
後は総て、自作の人形との共演という形でした。
これはいつもの平さんの公演スタイルです。
なんて言うんでしょう、ランニングシャツとういうか、昔の職人さんの下着のような
黒のシャツに赤いヒモをたすきがけのような感じで掛けて、腰(足元だったかな?
よくわからなかったですが)に鈴をつけたスタイルで登場。
いなせな感じで、ちょっとカッコイイです。
手には人形を持っての演技。

「天守物語」は富姫、図書之介の他に侍女達や遊びにやってくる亀姫、など
登場人物が多いので、これをどうやって一人で表現するかで苦労したように
お見受けしました。

対策(?)として、道路の工事現場に置いてあるような円錐形の物体に作った人形の
頭をつけてこれをいくつも用意。
並べると、侍女達がお行儀良く並んだ様子が表現できてました。

セリフは鏡花の書いた通りに演じると、言葉が難しいし、上演時間が2時間で収まらない
からでしょう、平さんが部分的にはしょって場面の説明をしつつ演じていく、と言う形で
進んでいきました。

ラストで、工人・近江之丞桃六(平さん自身が演じます)が富姫と図書之介を助けるため
ノミをふるうシーンは黒をバックに金の紙吹雪が舞い落ちてとてもきれいでした。

残念ながら、手順がご自分で全部把握し切れてないようでバタバタした感じでした。
でも平さんのこと、再演を重ねることで、もっと良くなる公演だと思います。

確か、以前の告知では今回の公演は「人形劇神楽流 家元襲名披露公演」の
はずでしたが、このあたりのことは全くお話しがありませんでした。

公演終了の時、平さん自身からお話しがありましたが、この11月26日は歴史ある
人形劇団プークを創立した方の命日なのだそうです。
この日に公演をやることになったのは全くの偶然だったそうです。
しかも創立者の方が無くなったのが24歳の時。平さんも今24歳。
平さん自身、このことに感慨深い物があるようでした。

高校卒業してから、人形劇の世界に飛び込んだ平さん。
私が24歳の時何をやってただろうか・・・なんて考えると、ちゃらんぽらんの私など
恥ずかしいくらい。

来年4月からは1〜2ヶ月に一度のペースで毎月の晦日に大人向け人形劇作品を
ここプーク人形劇場で上演をするそうです。
4月はなんと新作でオスカー・ワイルド原作の「サロメ」とはうれしいです。

まだ24歳の、平さんは着実に活動の幅を広げているようです。
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