2013年05月26日

「牧野邦夫 写実の精髄 展」

「牧野邦夫 写実の精髄 展」


「牧野邦夫 写実の精髄 展」@練馬区立美術館
4月14日〜6月2日まで
展覧会サイトはこちら



5月25日(土)に観に行っています。

最近の日経新聞の文化面や、TVの「美の巨人たち」でも紹介された「牧野邦夫」さん。
今回初めて知った方です。
展覧会は6月2日までだったと気が付いて、慌てて行ってきました。

牧野邦夫(1925〜1986)さん。
チラシに使われているのは「ビー玉の自画像」で1963年の作品。
50年前の作品なのに、なぜかまったく古さを感じない。


自画像だから本来新しいも古いも無いのかも知れませんが、それでも
どこかに時代の空気というか雰囲気は入ってくるものだと思うのです。
絵の具の塗り方とか、色の選び方とかで。
でも彼の絵にはそれが無い。
驚くほどの精緻なリアリズムのせいなのか、近年の作品かと思うくらいです。

あごの左右に見えるおしゃれな唐草文様みたいのは何?と、思ったら
右は「1963」と制作年、左は「牧野」の文字を装飾的に描いているのだとわかりました。

生前は数年おきに個展をしたり、依頼された肖像画や本のイラストの仕事もしていたようす。
とはいっても、いわゆる「売れてる画家」では無かったらしい。
お金が無いので、手元にある物に描いていることが多かったそうで、木のお膳やおぼん、
レコードジャケット、絵の具のパレットにまで「絵」を描いている。

展示されている作品を見ても、自画像がやたら多い。
女性の絵だったらうれるかもしれないけれど、作家本人の自画像では売れなかったろうに・・・
と、余計な心配をしてしまいました。

リアルに描かれた汚れたガス台のよこに、人の顔が複数描かれた不思議な絵。
どう見ても安アパート一部屋なのに、押し入れの向こうに異界の生物達がいたり。

「男児」というタイトルの作品は大型で、複数の少年や青年がここではない、どこかの
世界の鎧を着ている。
説明されなければ、まるで近年のゲームのパッケージデザインかと思うくらい。
そしてこの作品の頂上にいるのはやはり牧野さん本人だし。

ボッシュの「悦楽の園」のような半裸の人々が数多く描かれた作品もある。

どの作品もリアルに描かれた人や物があり、でもその世界は妖怪でも潜んでいる
ような不思議な雰囲気があります。

「屋上の邪保(じゃぽ)」も面白い。
ここで邪保とは悪魔のことらしい。
でもこんな言葉、私は初めて聞きました。こんな言葉があるのかどうか?
悪魔の姿の男(顔はやはり牧野)が血の付いた短剣を持って、下界を観ている絵
ですが、その顔は穏やかで涙さえ流している。

1枚の絵の中に不思議がいっぱい。

レンブラントを敬愛していた牧野さん。
レブラントになりきって、画家として悩める牧野さんあてに書いた手紙まで
残されている。
叱咤激励している内容なのです。

閉館1時間前に行ったのですが、全部見るには時間が少々足りないくらいでした。
もっとゆっくりじっくり観たかった。
久し振りにずしりと、見応えのある展覧会でした。


posted by みどり at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術・展覧会・イベント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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