2007年03月16日

MODE公演「変身」

MODE公演「変身」

MODE(もーど)公演「変身」@下北沢 ザ・スズナリ
3月2日〜3月13日まで
原作:フランツ・カフカ  構成・演出:松本修
出演:中田春介、小嶋尚樹、石井ひとみ、山田美佳、他

3月7日(水)に観ています。
カフカの不条理小説の舞台化です。
「変身」の舞台化を観るのはこれが初めてではなく、ずいぶん前に俳優でもある
スティーブン・バーコフ演出版の公演を観たことがあります。
実際の舞台ではなく、NHKのTV中継でしたが(^^ゞ
この時の主人公グレゴール・ザムザは、今は演出家として活躍している宮本亜門さん、
妹役は元・劇団遊機械・全自動シアターの高泉淳子さんでした。
ほとんど何にもない舞台で演じられ、不条理劇とは言っても舞台の「白さ」が印象的で、
妙にからりと乾いた感じがあったなと思い出しました。

今回の舞台版、私にはとてもおもしろかったです。
こう言ってはなんですが、前日観た「双頭の鷲」よりも楽しめました。

舞台セットは、手前がベッドのあるグレゴールの部屋。中央にドアだけがたっている
状態で、その向こうに家族の集まる居間兼食堂が見えます。

<あらすじ>すでに古典でしょうから、最後までご紹介します。
グレゴール・ザムザ(中田春介)は、ある朝目覚めると自分の体の異変に気がつきます。
一匹の虫に変身していたのです。
(虫と言っても、カブトムシかコガネムシか・・・そんな感じの虫らしい)
父(小嶋尚樹)と母(石井ひとみ)と、妹(山田美佳)はとまどいつつもグレゴールの世
話をしていきますが、次第にこの虫が本当にグレゴールなのか疑問を持つようになり、
さらにはその存在を疎ましく思うようになっていきます。
グレゴール自身も、日に日に人間としての理性が次第に薄れていくのを感じます。
ある朝、「虫」は動かなくなりました。
父・母・妹は久し振りに仕事を休み、楽しそうに出かけることにします。
両親は、そろそろこの娘にいいお婿さんを捜してやらねばと考えながら・・・。


私が初めてこの小説を読んだのは高校生の頃。
人間が突然虫に変身するという設定に驚くよりも、ラストのグレゴールから解放された
家族のホッとしたようすに、なんともいえない残酷さを感じたものでした。
この時は漠然とした感じでしたが、今回の舞台版を観るとやはり同じ感じをもちました。

今回の舞台版を観ると、私自身も少しは精神的に成長してきた(?)せいもあるのか
いろんな事を考えさせてもらえました。

突然、虫に変身してしまったグレゴールには虫になってしまってどうしようとまどいは見られません。
今を受け入れることで自身はあきらめがついたようです。
が、家族が今の自分を受け入れてくれない事へのいらだちがあるようす。
(虫を演じていますが、着ぐるみ着てるわけではありません。
演技力だけで表現してくれています)

家族も思いやりが無いわけではないけれど、事態が進展しないことから疑問と不安
をもち、さらにはそれが怒りに変わっていく様子は観ていて少々ぞっとします。
ここには、家族だからこそ逃れられない介護の問題も感じました。
おそらくカフカは変わった設定で話を書きたかっただけでそんなことまで
考えて書いたわけではなかったと思いますが。

グレゴール役の中田さんはじめ、出演者の方達の演技もしっかりして観ていて
安心感があります。
小さな劇場での公演ですが、なかなか見応えある舞台でした。


posted by みどり at 03:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇・ダンス・芸能 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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