2005年02月26日

トールキン著「サンタ・クロースからの手紙」

J.R.R.トールキン著「サンタ・クロースからの手紙」
  発行:評論社  著者:J.R.R.トールキン  編者:ベイリー・トールキン
  翻訳:瀬田貞二  定価:1470円(税込み)

一冊読み終わりました。
映画「ロード・オブ・ザ・リング」の原作「指輪物語」の作者、トールキンが
毎年クリスマスにサンタクロースになりきって、サンタクロースから来た手紙と言う
趣向で、自分の子ども達へ書いておくってあげていた手紙。
サンタクロースから最初の手紙が来たのは1920年、長男ジョンが3歳の時。
(トールキンはジョン・マイケル・クリストファー・プリシラの四人の子のお父さんです)

保管されていたそれらを三男のクリストファーの奥さんが編集し刊行したのだそうで
本書には1925年から日付のない最終分(1939年か40年)までの15年間、毎年
とぎれることのなかった、カラフルなイラストと文章の楽しいクリスマス・レターが収録
されています。
サンタ・クロースが自分の仕事の手伝いをしてくれる北極熊のことや雪のエルフ、
そのほか雪人、洞穴熊のことを書いたり、時にはサンタ・クロースにかわって北極熊
や秘書のエルフが書いたりしてます。
その時はわざわざ筆跡まで変えるという懲りよう。

体裁としては子供向けの「絵本」です。
図書館でも本書は「児童書」の方に分類され、置かれていたので私もいままでこの本
の存在に気がつきませんでした。私は図書館愛用者です(^_^;)

訳者、瀬田貞二さんは「指輪物語」も翻訳された方です。同じ作者の文章を、同じ
訳者が訳してるのですから「指輪」ファンとしてはうれしいです。
瀬田さんの解説によると、1925年はトールキンは33歳。リーズ大学で中世英語
学の教授となり、ついでオックスフォード大学に招かれた頃。
1937年に「ホビットの冒険」が出版され、1936年には「指輪物語」の執筆がはじ
まってるそうです。
それを思い出しながら本書を読んでると「指輪物語」の裏側をのぞいてるような気が
してきます。「指輪物語」の冒頭のホビット庄の様子がのどかなのはお父さんとして
の愛情の影響か?などと考えるのも楽しいことです。

サンタ・クロースから来た手紙と信じて読んでた子ども達。それがお父さんが描いてた
物だと気が付いたとき、子ども達は何を思ったのでしょうか。
幸せな家族の様子を、のぞき見させてもらってるような感じさえする本でした。
一つだけ不満をいうと、収録されてる絵が原寸大なのかどうかの表記がないことです。


内容のご紹介です。
1925年。
北極柱のてっぺんにサンタ・クロースの帽子が引っかかった。それを取ろうと北極熊
がのぼっていくと柱がおれてしまい、そのままサンタ・クロースの家に倒れてしまう。

1926年。
2年分のオーロラ花火に火をつけてしまった北極熊。花火の絵が迫力あります。

1927年。
北極はいつになく寒さが厳しい。北極柱に鼻をなすりつけたらそこの皮がむけてし
しまった北極熊。三ヶ月暗いままなので荷造りのためほうき星を雇い入れた
サンタ・クロース。夜の風景とほうき星の絵がきれいです。

1928年。
両手にプレゼントを持ったまま階段から転げ落ちた北極熊。
階段に散らばったプレゼント。階段の下でのびてる北極熊の絵がおもしろいです。

1929年。
事務室兼荷造り部屋で北極熊が名前を読み上げて、サンタ・クロースが書き取ってる
時、北極熊が窓を開けてしまい書類が吹き飛んでしまう。
机に向かってるサンタ・クロースと座ってる北極熊の後ろ姿がかわいいです。

1930年。
北極熊と近くに住む人間の息子達である雪ン子を招待してのパーティ。
サンタ・クロースの横顔がなんとなくトールキンに似て見えます。

1931年。
いつもみたいにいくつもプレゼントがあげられないことのお詫びと、世界中でたくさんの
人がお金も食べる物もなく飢えかけていることを語る手紙。
地下室へいった北極熊はろうそくを花火の入った箱に落としてしまう。背中に火傷
をおってしまう北極熊。
彼が描いたという絵も2枚入ってます。

1932年。
地下の洞窟でのゴブリンとのひと騒動。
洞窟を探索するサンタ・クロースの様子の絵の描写がいいです。

1933年。
またまたゴブリンとのひと騒動。寝てるところを物音で目を覚ますサンタ・クロース。
ゴブリンを握りつぶす北極熊。
天蓋付きのベッドで寝てるサンタ・クロースの絵、壁紙がクリスマスツリーみたいな
絵付きでおもしろいです。

1934年。
北極熊の甥のパクスとヴァルコツッカがいたずら好きでこまってることの報告。
ノルウェーから木を運んで、氷の池に植えてつくった大きなクリスマスツリー。
見上げるようなツリーの絵が楽しい。

1935年。
インクがないし、水がないので色つきの絵はないことのおことわり。
今年は恐ろしく寒いとのこと。北極熊までコート着て赤い手袋までしてた。
雪に埋まったトナカイ小屋を掘り起こすエルフ達。
絵は色鉛筆で書いてあるようです。

1936年。
サンタ・クロースは気が動転してるので、秘書役のエルフのイルベルスが代筆。
北極熊がお風呂にはいったっま居眠りしたおかげで、お湯があふれ階下のイギリス
向けのプレゼントを置いた部屋に大雨が降るはめに。
浴槽で寝てる北極熊、雨降りになった階下でびっくりしてるサンタ・クロースの様子は
なかなか臨場感あります。

1937年。
サンタ・クロースは時間がなくて、仕事で手を痛めたので代わりにイルベルスが代筆。
イルベルスの絵日記の紹介。今年の北極は暖かいこと。エルフと雪ン子達の遊びの
ことなど。
碁盤の目のようにこまわりした枠の中にいろいろな場面が描かれています。

1938年。
北極熊が棘をふみぬいたこと、火傷をしたことなどトラブルメーカーであることを語る。
イルベルスの追伸もあり、ことしはよい年だったことの報告。
装飾的なツタとヒイラギの絵がきれいです。

最後の手紙。(1939年か40年)
戦争のせいで、手紙のやりとりをしてる子ども達が少なくなってる、となげくサンタ・
クロース。ゴブリンとの一大合戦。
頼まれた品物も集めてあげられなかったことのおわび。
手紙を書くのはこれで最後になるけど、古い友達の名は忘れず彼らが大きくなって
自分の家と子ども達を持ったときに、また戻ってきたいと語るサンタ・クロース。
輪になって踊るサンタ・クロース、北極熊、雪ン子達の様子がほほえましいです。


最後の手紙を読むと、もうサンタ・クロースの手紙が必要でなくなるほど成長した
子ども達にホットすると同時に、もうこういう手紙が書けないことの一抹の寂しさ
を感じてる父親の様子がうかがえます。

この本は私も一冊手元に置いておきたくなりました。
図書館で借りて読んだので、これは購入することにしましょう。





posted by みどり at 03:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 指輪物語周辺 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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