2010年03月26日

PARCO Presents「変身」

PARCO Presents「変身」


PARCO Presents「変身」@ル テアトル銀座
原作:フランツ・カフカ
脚本・演出・美術・音楽:スティーブン・バーコフ
出演:森山未來、永島敏行、久世星佳、福井貴一、穂のか、丸尾丸一郎



3月19日(金)にA席で観に行っています。
俳優で演出家でもあるスティーブン・バーコフ氏。
カフカの短編小説「変身」をバーコフ氏自身が1969年に主演・演出して世界中で
何度も上演されてきた舞台の日本での再演です。


カフカの「変身」は、ある日突然「虫」になってしまった男グレゴール・ザムザと、
彼をどう扱うか、とまどう家族の物語。
この物語は日本でも何度も舞台化されているし、演出家の興味をそそる部分が
あるようです。
(ちなみに2007年には劇団MODEが舞台化してます。リンク先はその時の感想です)

1992年の日本初演の時は、観たいなと思いつつもチケット代の高さに躊躇して
行かなかったのですが、後日NHKが舞台中継をしたのを観ています。
この時は、グレゴール・ザムザを宮本亜門さん、妹グレタを高泉淳子さんが演じていました。
もう18年も前だし、実際の舞台を観たわけではないので、あまり記憶に残っておらず
今回は初めて観るような感じでした。

<あらすじ>(原作はすでに古典なのでラストまで書きます)
布のセールスの仕事で、朝4時に起きて5時には列車に乗るのが日課のグレゴール(森山未來)。
彼がある朝目覚めると、自分が「虫」になっていることに気がつく。
部屋から出てこないことで初めて彼の異変に気がつく、両親(永島敏行、久世星佳)と
妹グレタ(穂のか)。
家族は「虫」になってしまったザムザに恐れと嫌悪を感じつつも何とか世話をしていこうと
するが、家族以外には人に知られないようにとビクビクしている。
日がたつにつれて本当にこの「虫」がグレゴールなのか?と疑問も持つようになる。
グレゴールの面倒をみるのも次第におろそかになるし、彼自身も人間としての理性が
薄れつつあるのを感じる。
ある日「虫」は動かなくなり、家族は初めて開放感を感じる。



なぜグレゴールが突然虫になってしまったのか、作者カフカもその理由は、何一つ書いていません。
そしてその姿も具体的な描写がほとんどない。
この物語、カフカはどんな思いで書いたのか分かりませんが、今の時代にみても
不思議と古さをかんじません。

舞台上には、棒を組み合わせたジャングルジムのようなものがあるだけ。
まるで蜘蛛を連想しますが、シーンによって正面やや下から照明が当たると舞台の
後ろにうつる影がまさに巨大蜘蛛。

「虫」になったグレゴールはこのジャングルジムをぶら下がったり、下に降りたりで
その動きは人間離れしたものを見せています。
そもそも今回グレゴール役の森山未來さん、普通の人間らしい動きは全く無いので
体力的に大変だったろうと思います。

バーコフの演出は、虫になってしまったグレゴールの不気味さをより強調している
ように見えますが、その中に滑稽さも感じます。
ジャングルジムが場面によって巨大な蜘蛛に見えるときはほんとに不気味です。


この物語、今の時代いろんなとらえ方が出来てしまいます。
認知症の老人を抱えた家族の物語、あるいは障害者を抱えた家族の物語にも。
だから最後で、グレゴールが死んだことを知った家族の開放感とはれやかな様子は
よくわかるし、少々居心地の悪さも感じる。
言葉が悪くなりますが、厄介者の家族が死んで開放感を感じるというのが、後ろめたいというか。
これは原作を読んだときにも、感じた感覚でした。
でもラストの開放感は、それまでの陰鬱とした薄暗さから急に明るい日だまりの
中にでてきたような明るさも感じました。

今回のバーコフ氏の演出のラスト、初めて原作を読んだときの開放感にはやや
及ばない感じがしました。
悪くはないのですが、期待していたよりちょっと弱かったということです。
この時、セリフをしゃべっているのは父役の永島敏行さんなのですが、もう少し
声のトーンを高く、ゆっくりしゃべってくれたらだいぶ印象が変わっていたような
気がしました。


森山さんはダンサーで俳優でもある方。
今回の主役になぜ森山さんが?と思ったのですが、今回初めて知ったのは、演出家のバーコフから
グレゴールを演じる人物は「俳優では無い、他のクリエイションに携わる人物を」とのオーダーがあったのだそうです。
今までもグレゴール役は、バレエダンサーのミハイル・バシリニコフや映画監督でもある
ロマン・ポランスキーが演じてきたそうです。


posted by みどり at 00:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇・ダンス・芸能 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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