2008年11月11日

「高山辰雄遺作展  人間の風景」

「高山辰雄遺作展  人間の風景」



「高山辰雄遺作展  人間の風景」@練馬区立美術館9月13日〜11月3日まで  終了しています


11月3日(月・祝)に観に行っています。
去年9月に亡くなった日本画家の高山辰雄(1912-2007)さんの回顧展です。
9月13日〜10月5日と10月11日〜11月3日の2期に分け、展示作品の
ほとんどを入れ替えての展覧会でしたが、
ついつい行きそびれてしまい最終日にあわてて行ってきました。
展示作品も前期と後期では大半の入れ替えをおこなったそうで、かなり規模の大きな展覧会だった
ようです。

この方の絵は以前から好きだったのですが、ご本人のことは何も知りませんでした。
高山辰雄さんの絵というと、点描で描かれた人物や花などの作品が印象的な方。
どんな風に描いていたのかというと、穂先が刷毛のようになった平筆は使わず、
丸筆(習字で使うような穂先の筆)しか使わなかったのだそうです。
このことは今回初めて知りました。
平筆で一気に画面を塗りつぶす事はしなかったのか、と思うと一枚の作品に時間を
かけ根気よくつきあっている作家の姿が目に浮かびます。

私が観に行ったときには無かった「砂丘」は東京美術学校日本画科の卒業作品
だったそうで、これは好きな作品です。
砂丘に足を投げ出して座っているセーラー服の女学生が描かれた作品。
学生時代のこの作品は点描は使っていないし、この作家の後期の作品に感じる
「静」を感じません。まだ学生時代の作品だからやはり「若さ」と「動」を感じます。

今回みた展示作品の中で一番印象に残ったのは「食べる」(1973年)でした。
少女が丸ごとのジャガイモをつかんでかぶりつている絵。
構成も色彩もなんだか塗り絵のように単純。
あっけないほど、なんの色気も華ない絵です。額に入ったこの作品を部屋のどこかに
飾りたいとは絶対思わない、思えない作品。
なんでこんなそっけない絵を描いたんだろう・・・と、思ってしまいますがしばらく観て
いるとジャガイモつかむ手の指とかぶりついている口の線のつながりがとてもきれい
です。
初めて観たときはつまらない絵だと、思ってしまいましたが観れば観るほど味が
出てくるようです。
「食」は「生」につながる事。
そんな事を頭に置きつつ「食」の様子をどこまで単純化できるかを試したようにも
見えます。

「いだく」(1977年)は一人の女性が赤子を抱いてそばでもう一人の人物がのぞき
こんでいる情景が描かれています。これも好きな作品。
情景から言ったら夫婦かなと思うのですが、のぞき込んでいる人物は男性には
どうしても見えません。
二人の大人に囲まれた赤子は、その周囲の色彩が暗く、抱かれていると言うより
大きな木の幹に出来たほこらか、何かの「巣」の中に収まっているように見えます。

タイトルを忘れましたが家族の姿を描いたらしい作品の一つも印象に残りました。
赤子を抱いて座る裸の女性、彼女の後ろに立ち二人を見下ろす裸の男性。
男性に寄りかかっている裸の少女。
ある家族の姿。
あまり色彩も多くない絵ですが、柔らかで優しい時間と空気を感じます。

点描で描かれた人物群は、優しい雰囲気と同時に力強さも感じます。
高山さんは、ゴーギャンの作品にも惹かれていた時期があるそうで、それを聞くと
なんだか納得してしまいました。
ゴーギャンの持つ力強さと高山さんの優しさが融合したようですね。

点描で描かれた花も美しいです。
高山さんの作品は、人物画を観ても花の絵を観てもどれもとても若々しい
空気を感じます。
晩年の絵をみても若さを感じ、それがとても不思議です。


posted by みどり at 07:47| Comment(0) | 美術・展覧会・イベント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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