2008年10月29日

「サド公爵夫人」

アトリエ・ダンカン「サド公爵夫人」


「サド公爵夫人」@東京グローブ座
演出:鈴木勝秀  作:三島由紀夫
出演:篠井英介、加納幸和、石井正則、小林高鹿、山本芳樹、天宮良


10月18日(土)に観に行っています。
1700年代、パリに実在したサド公爵、そしてその妻ルネをモデルにした物語です。
サディズムの語源ともなった、サド公爵はその人生の大半を監獄になかで過ごした
らしいです。
現在残されている小説の大半は、投獄中に書かれたものらしいです。
放蕩の限りをつくして莫大な富を得る姉を描いた「悪徳の栄え」、真面目に生きよう
とする妹が悲劇的な結末を向かえる「美徳の不幸」、退廃的な街「ソドム」の物語など
書名や内容を知っていても、実際にその小説を読んだことは私もまだ無いです。

三島由紀夫が書いた「サド公爵夫人」は、舞台に女性しか登場しないお話しです。
今回の舞台は出演者が全て男性、しかも主人公ルネは現代の女形、篠井英介さんが演じると聞いては
どうしても観たくなりました。
(舞台作品は以前TV中継版を1本、実際の舞台を1本観たことがあります)


今回、舞台セットはほとんど無いと言ってもいいくらいシンプル。
でも出演者の皆さんの衣装はかなり豪華で、チケット代がやたら高かったのは衣装代のせい?と思えるくらいでした。

投獄されたサド公爵の帰りを待つ貞淑な妻・ルネ(篠井英介)。
サド公爵とルネを解れさせたい、ルネの母・モントルイユ夫人(加納幸和)。
実はサド公爵の愛人でもあったルネの妹・アンヌ(小林高鹿)。
サドとは幼なじみで、信心深いシミアーヌ男爵夫人(石井正則)。
サド公爵の悪徳に心酔し、自身の行動も当時としてはかなり開放的なサン・フォン伯爵夫人(天宮良)。
そして以前はサン・フォン伯爵家にいたが、今はモントルイユ家のメイドのシャルロット(山本芳樹)。
登場人物はこの6人だけ。

6人の会話から、サド公爵の人物像がしだいに浮かび上がってくるところと、それぞれの人物像が見えてくる
ところはおもしろいです。
モントルイユ夫人からみたらまるで怪物のサド公爵。でも篠井さん演じる妻のルネは貞淑でとてもかわいらしいです。
しかしそんなルネもサド公爵の求めに応じていたことを母に指摘され、とがめられる。
サド公爵の行動をすべて受け入れ、許し、彼の帰りを待つルネに、ごうをにやした
感じで母のモントルイユ夫人が手をあげようとします。
「ルネ、打ちますよ!」「さあどうぞ。もし、おうちになって私がこの身をくねらして
喜びでもしたらどうなさる?」と笑顔でおだやかにほおを向けるところはドキッとするくらい艶っぽく、
みごとな名場面だったと思います。

シミアーヌ男爵夫人は地味なくらいの信心深い女性ですが、石井さんの演技はほんとうにちょっと
地味すぎるようで、近所の物静かな中年女性という感じです。
天宮さん演じるサン・フォン伯爵夫人は、世間体など気にせず奔放な行動をする
女性ですが、もうすこしすごみを感じさせる方がもっとおもしろいんではと思いました。

何十年も待っていたはずなのに最後の最後で、サド公爵の元を去ることを決意する
ルネ。
獄中で彼が書いた、真面目なのに不幸のどん底に落ちる女性が主人公の小説
を読んで、このモデルは自分だと感じた時ルネは彼と分かれる決意をするのです。
どこにいようとサド公爵は自分を思ってくれている、というのがルネの気持の支え
だったのに、そうではなく遠くから笑っていた、感じたからのようです。
永年張り詰めていた気持がフッと、きれることがある、その気持はとてもよくわかります。
私たちは、ルネに似た部分を皆もっていると感じます。


それにしても私の観た日は公演が始まって二日目、三島由紀夫のセリフは膨大で、言いずらいのか
出演者の皆さん、見事にセリフかみまくりでした。
安心して聞けるのは篠井さんだけ、というのはちょっと情けない。
加納さん、ラスト近くてどうもセリフを忘れたのでは?と思える場面もあり、篠井さん
が上手く受けていたように見えました。






posted by みどり at 07:04| Comment(0) | 演劇・ダンス・芸能 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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