2010年11月29日

女木島にて「福武ハウス2010」他/「瀬戸内国際芸術祭2010を巡る旅」再び・その8 

女木島「福武ハウス2010」


10月28日(木)

女木島の洞窟を見てから、バスに乗って下山。
女木島港にも近い「福武ハウス2010」を観に行きました。

現在休校中(廃校ではないらしい)の女木小学校を会場に国内外のギャラリーが
それぞれ取り扱いのアーティストさんの個展を行う、という企画。
なんで福武?と思ったら、プロデューサーの名前が福武さんでした。
休校中の学校と聞くと、さぞや古い建物かと思ったら校舎そのものは比較的
新しい感じでした。

小学校の教室や、実験室、図書室などを会場とした個展は、それぞれの部屋に
残っている雰囲気も作品の一部になっていたようです。


会場内は写真撮影禁止なので、残念ながら言葉だけの紹介と感想になります。
見てから日がたっているので、はっきり覚えているのと、すっかり忘れているのと
いろいろあります。
覚えてないのは私にとって興味がなかった・・・と、言うことですねf(^―^;



まずは1階から。

<中庭:ギャラリー小柳>
行く前に一番気になっていたのは杉本博司さんの作品「Lost Paradise」。
もらった案内図には「失楽園 水の記憶」と書かれていてこの二つの言葉で一つの
作品名なのか、二つの作品名なのか、よく分かりません。

中庭と、中庭に置かれた物、そして百葉箱を使ったインスタレーション。
期待した割にはぜんぜんピンと来なくて私にはわかりませんでしたm(__)m

杉本さんの作品は、夏に直島に行ったときに家プロジェクトの護王神社の
「アプロプリエイトプロポーション」を観ていました。
(リンク先は観てきたときの感想です)

<家庭科教室:ギャラリー・グイド・バウダッハ>
ビョルン・ダーレム作「マジック・マウンテンII」
オブジェ数点の展示。
遊び心を感じる作品で、見ていてなんだかおもしろい。


<資料室・廊下:ヒロミヨシイ>
大塚聡作「無題」「波を数える」他
トランクのような物があり、フタが開いているのでのぞき込むとそこに見えるのは暗闇の
中に光の点が。
コンピュータで作った映像のようですが、詳細は不明。
小さな箱の中にどこまでも地の底までも続くような光の点が見える、のが不思議でおもしろい。



<生活科室:ギャルリー・タデウス・ロパック>
チョン・ジュンホ作「ザ・クリーチャー・オブ・インダクション」
どんな作品だったかすっかり忘れましたm(__)m


<5・6年教室: ボエス−リ・ギャラリー>
チウ・アンション作「ダーウィンの悪夢」
一つの部屋なのにこの教室名からするとかつてこの小学校では、2学年が一つの教室で
勉強していたらしい。
生徒がいなくなったので休校になったのでしょうか。

薄暗い教室にいくつもの小さなモニターがあり、それぞれに違うアニメーションが
映し出されていました。



二階へ移動。

<音楽室:ジェームズ・コーハン・ギャラリー>
ビル・ヴィオラ作「トランスフィギュレーション/ヘレナ」
映像インスタレーション
ビル・ヴィオラ氏の作品があるとは、行ってからはじめて知りました。
ビル・ヴィオラ氏をしったのは2007年の展覧会「ビル・ヴィオラ はつゆめ展」でした。
(リンク先は私の感想です)
薄暗い音楽室の両端に2作品が向かい合うように上映されていました。
「ヘレナ」は少女。

「トランスフィギュレーション」は中性的な大人の女性。目つきも鋭くて
どこかアンドロイドのようにも見えます。

それぞれがこちらに通常ではあり得ないゆっくりとしたスピードで向かってきては去っていく。
二つの映像の中の人物が、それぞれ無言で語り合っているようにも思える作品。
これはとてもおもしろかったです。


<2階ホール:タカ・イシイギャラリー>
スターリング・ルビー作「セラミック&アラバスター」
金属の固まりのような作品でしたが、こちらも見てから日がたってしまい
あまり印象に残っていませんm(__)m


<理科室:ヴァイタミン・クリエイティヴスペース>
ジュン・ヤン作「ファントムアイランド」
創りあげた小山のような物を、トラックで運び、海に浮かべていく。
その課程を追いかけていく映像。
架空の島、作り出された国が、波に揺れて流されていく。
この様子で何かを訴えたかったらしい。
かわったことしてるなあ・・・と、思いましたがそれ以上のことは・・・f(^―^;


<図書室:小山富男ギャラリー>
辻直之作「風の精」
和紙に木炭で絵を描いては消す、これをコマドリ撮影して作られたアニメーション。
消した木炭は、和紙にかすかに残る。
絵を描いて消す、これを繰り返すほどに陰(消しきれなかったのこり)がどんどん増えてくる。
この消し残りが動きの残像に見えておもしろい。
小さな赤ん坊は風の精霊の子、なのか。
風に乗って人間の世界に行ってみたけれど・・・やっぱりお母さんの所が一番いい
・・・そんな風にみえるアニメーションでした。
ゆっくりとしたギターのBGMも心地よい。

この図書室に行き着くまでに、薄暗いせまい通路をとおりますが横には本棚があり、
本があり、小さなスタンドの照明で照らされている部分もある。
スタンドで照らされていた本のタイトルは何だったか・・・メモを取っておけばよかった。
作者はきっとそこも考えて演出をしていたはずですから。
映像作品の前の序章としてノスタルジックたっぷりの演出だったと思います。

今回の福武ハウスの中で一番気に入った作品で、映像作品は何度も観てしまいました。


<学習室:クリマンズット>
ガブリエル・クリ作「剥き出しの柱」
床と天上にコンクリートのかたまりのような物があり、それぞれが細長い
物でつながっている。
これも今となっては、印象がイマイチ薄い作品でした。


<総合的学習室:ジュウゴアーツ>
森村泰昌作「動く電気服2010(田中敦子のために)」
無音の中。少女のような黒髪&メイクの森村さんが「電気服」をゆっくりを身に
つけるとそれは色とりどりに美しく点滅し、パチパチと音をはじかせる。
しだいに増えていくパチパチ音が心地よく、見ていてきれいな映像作品でした。



<テレビ会議室:スカイザハウス>
石川直樹作「鳥は、山」
海、島、の写真が教室のあちこちに展示。
教室の中に小島があって、そこに写真の展示があるような感じ。
展示の仕方もおもしろいと思いました。


小学校のすぐそばに「旧保育所」があり、屋根が膨らんだケーキみたいになってました。
これも「作品」だったらしい。

女木島の旧保育所 「ラング/バウマン」


女木島の旧保育所 「ラング/バウマン」2


ガイドブックをみるとアーティスト名は「ラング/バウマン」となってました。
ラングさんとバウマンさんの二名なのか??



福武ハウスを出てからは、港近くの作品をみてきましたが、
詳しい感想はまた、後日に。


☆瀬戸内国際芸術祭2010の公式サイトはこちら

2010年11月28日

平成22年度第2学期通信指導提出


12月1日必着の通信指導、あわてて昨日の夜書いて本日朝、投函しました。
自分で決めたことなのに、ギリギリにならないとやらない、やれない、と言うのが
ちょっと情けない(x_x)

今学期受講してるのは「量子化学」と「環境デザイン論」
どちらもいつものように勉強遅れてます。
恥ずかしいから、はっきりとは言えません(^_^;)
それにしても10月に第2学期が始まり、1月後半に単位認定試験がありますが、その折り返し
地点の中間で通信指導提出、というのがあるのはいい。
これがあるから、であしが遅くなったときも、焦りながらもやろうという気になりますから。


「量子化学」は以前受講して、いったん放棄してしまった科目。
手こづってます。


「環境デザイン論」は今回初めて受講しましたが私にとって、これはとてもおもしろいです。

六本木ヒルズの森ビル社長・森稔氏がマスターディネーターとして、顔写真入りで
紹介されているのにはちょっとびっくり。
六本木のオフィス・アート・住居など総合的な都市開発をしたということが高く評価されて
いました。

先日は私のアート鑑賞のながれとしてですが、フランスの建築家ドミニク・ペロー氏の仕事と思想を
紹介した展覧会「ドミニク・ペロー 都市というランド・スケープ」を観に行ってきました。
東京オペラシティ、アートギャラリーで12月26日まで開催中。
最新の建築と、環境の融合に興味のある方にはお勧めの展覧会です。
こちらの感想は後日書きたいと思います。

展覧会公式サイトはこちらです。

「ドミニク・ペロー 都市というランド・スケープ」
posted by みどり at 20:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 放送大学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月25日

「ヨーヨー・マ チェロ・リサイタル2010」

「ヨーヨー・マ チェロ・リサイタル2010」


「ヨーヨー・マ チェロ・リサイタル2010」@ミューザ川崎 シンフォニーホール
チェロ:ヨーヨー・マ  ピアノ:キャサリン・ストット


11月9日(火)に3階席で聴きに行っています。

現代最高のチェリスト、といって誰も異論の無いはずのヨーヨー・マ(Yo-Yo Ma)さん。
お名前は知っていましたが、初めて生の演奏を聴きに行ってきました。
今回は友人のお誘いがあったのが一番のきっかけで、そうでなければ気になりつつも
行かなかったと思います。



以下は、この日のプログラムです。

E.モリコーネ:「ガブリエルのオーボエ」(映画「ミッション」より)
G.ガーシュイン:「前奏曲第2番」
C.マリアーノ:「クリスタル」
J.ブラームス:「チェロ・ソナタ第1番 ホ短調 op.38」

G.フィトキン:「L」
S.ラフマニノフ:チェロ・ソナタ ト短調 op.19」

アンコール曲
ラフマニノフ:「ヴォカリーズ」
エルガー:「愛の挨拶」


今までも何度も行ったことのあるミューザ川崎。
3階席とはいえ、ミューザ川崎のシンフォニーホールはとても音の響きがきれいだと
思います。

ヨーヨー・マさんご自身のことは知らなかったのですが、中国人を両親としてパリに
生まれ、4歳からチェロを学んだとか。
ヨーヨー・マさんと、ピアノのキャサリン・ストットさんは何度も一緒に演奏をしてきた
名コンビらしいです。

白状すると恥ずかしながら、音楽のことはあまりよくわからない私。
今回知らない曲ばかりだったのですが、時々肝心のチェロの音色より、ピアノの方が
前面に出てしまっていることがあるように感じました。
(これは選曲のせいかも)
チェロの音だけ聴けたら・・・と、何度か思ってしまいました。

今回演奏された中で「L」という曲はストットさんからのリクエストで作られたのだそうです。
アンコールは誰でも知っている愛らしい小品「ヴォカリーズ」と「愛の挨拶」

良い演奏会を聴けたし、友人とも久し振りに会えて充実の一夜でした。
posted by みどり at 21:43| Comment(2) | TrackBack(0) | 音楽・コンサート・オペラ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月23日

女木島にて「鬼合戦、あるいは裸の桃の勝利」他/「瀬戸内国際芸術祭2010を巡る旅」再び・その7


10月28日(木)
この日の高松&瀬戸内は、小雨の降る朝でした。

ホテルの朝食バイキングもありましたが、7時からなので早めに出発したい
私には利用できない。
前日買いこんだ物で簡単に朝食をすませ、ホテルを7時15分ぐらいに出て
高松港へ向かいました。

この日は、高松港からも近い女木島(めぎじま)と、男木島(おぎじま)を廻る
予定でした。
両島ともガイドブックをみると、3時間前後で作品鑑賞できると書いてあったからです。

前日は乗船人数が限られる小型の高速艇でしたが、女木島・男木島へは大型のフェリー
なので整理券を求める必要はないけれど、時間に余裕をもってフェリー乗り場へ。
(途中でJR高松駅そばのパン屋さんによって昼食用のパンを購入(^^))

下の写真は高松港、朝8時出発のフェリー「めおん号」
女木島港、男木島港と順番にまわり、高松港間を往復してる船です。

2010年10月28日のめおん号


まもなく女木島。
でも高松港がはっきり見えます。(下の写真の向こう、霞んで見えるのが高松港です)
右側に見えるのは「鬼」の像です。

2010年10月28日 女木島港から見た高松港



8時20分には女木島港に到着。

2010年10月28日の女木島港


女木島の別名は「鬼ヶ島」
島には洞窟があり、昔はここに鬼が住んでいた。
・・・というのはもちろん伝説で、実際は海賊がここをアジトにしていたらしい。

バスの時刻表は確認してなかったのですが、島に着くと、まもなく洞窟行きの
バスが出発するとわかりまずはこちらを先に行ってみることにしました。
山の上にある洞窟。
そこに展示されているアート作品もあるからです。



洞窟に着くと、ガイドの方がいてその方と一緒に中を巡りました。
ここが洞窟の狭い入り口。

2010年10月28日 女木島 大洞窟



展示作品はサンジャ・サソさんの「鬼合戦、あるいは裸の桃の勝利」
洞窟内部のあちこちに、金網のようなもので作られたヒト型のオブジェが、横たわっていたり、つり下がっていたり。

サンジャ・サソさんの「鬼合戦、あるいは裸の桃の勝利」1


サンジャ・サソさんの「鬼合戦、あるいは裸の桃の勝利」2



暗闇の中、小さな光に照らされるトルソーは幻想的。
洞窟の壁に映る影もまた美しい。

詩人のジャン・コクトーがつくった古い古い映画「詩人の血」にも
ヒト型の奇妙なオブジェが登場してましたが、なんだかそれを連想します。

複雑な洞窟内部、ガイドなしで一人で歩いたらちょっと怖いかも。


洞窟を出てからもアート作品がありました。
ロルフ・ユリアスさん作「緑の音楽」
木々に囲まれた緑のホールのような空間にあるサウンド・インスタレーション。

ロルフ・ユリアス作「緑の音楽」


そこに入ると、小鳥のさえずりやらいろんなざわめきが聞こえてきました。
アーティストさんが女木島で採取した「音」で構築された作品らしい。
でもこの作品、夏は蝉の声でかき消されて全く鑑賞できなかったんだそうです。
ドイツ人のユリアスさん、日本の夏のそんな事情までは気がつかなかったらしい(^_^;)

洞窟を出た先には展望台があるので行ってみましたが、悪天候のため回りは
真っ白で何にも見えませんでした。
晴れていればすばらしい景色らしいです。

この後、バスに乗って下山しました。
続きはまた、後日に。



☆瀬戸内国際芸術祭2010の公式サイトはこちら

2010年11月22日

第42回 日本美術展覧会「日展」

第42回 日本美術展覧会「日展」


第42回 日本美術展覧会「日展」@国立新美術館
10月29日〜12月5日まで
展覧会公式サイトはこちら


11月5日(金)に観に行っています。
開催中通常1200円のところ、午後4時半からは格安のトワイライトチケット(300円)で入場でき、
金曜日なら午後8時(通常は6時)まで鑑賞できるので、金曜日をねらって行ってきました。
場内の写真撮影は平日のみOKでした。
(入場の際、簡単な手続きが必要です)

日本画・洋画(油絵)・彫刻・工芸・書と幅広く公募、展示の展覧会です。
日展を見るようになったのは第40回からなので、今回が3回目です。

観に行った日は、入館が午後6時少し前であまり時間もないので「書」はパス。
それ以外を、急ぎ足で回ってきました。

以下、印象に残った作品をピックアップしておきます。



<工芸>
一番のお目当ては、きっとあるだろうと思っていた宮田亮平さんの「シュプリンゲン」
今年もありました。

宮田亮平「シュプリンゲン」2010年 1


宮田亮平「シュプリンゲン」2010年 2


現・東京藝術大学の学長さんです。
(リンク先は東京藝術大学のサイトです)
宮田さんは「シュプリンゲン」というタイトルで、イルカと波をモチーフにした作品を何点も作られています。
私もこの「シュプリンゲン」シリーズは大好きです。
空間を泳ぐイルカの姿は、見ていてとてもさわやかで楽しいです。

余談になりますが、宮田さんの作品は都内のあちこちでも展示されています。
こちらは東京・神田錦町にある「シュプリンゲン」、と「森の神」。
東京藝術大学のサイトで初めて宮田さんのお顔を知ったのですが、穏やかそうな笑顔が
「森の神」のフクロウ親子にそっくり!と思いました(^^)

そしてこちらは東京・北千住駅前にある「シュプリンゲン」・・・タイトルは「乾杯」ですがイルカたちが空に向かってジャンプしてます。
(リンク先は、私のブログ記事です)


永井はな子作「虹」
人形の配置とポーズがハーモニーを奏でていました。

永井はな子作「虹」





新開寛山作「ふくろう森に集う」
絵柄と色彩が楽しい。

新開寛山作「ふくろう森に集う」




<彫刻>
阿部鉄太郎作「Yuki Onna」
雪女?
雪がこびりついたような質感と、そのポーズに惹かれました。

阿部鉄太郎作「Yuki Onna」




<日本画>

納光弘作「明けゆく」
海の波しぶきを描いた作品。
どうしても葛飾北斎の浮世絵「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏(かながわおきなみうら)」を連想させますが、波の描き方も色彩も違います。

納光弘作「明けゆく」



津田親重作「跡」
雨上がりのどこかの街角か?
みずみずしい感じが新鮮です。

津田親重作「跡」



緒方裕和作「散歩日和」
散歩道、上を見上げたら木もれ日が・・・。

緒方裕和作「散歩日和」



<洋画>
実は私、油絵のねっとりべっとりした質感はあまり好きではないので、ピックアップした作品も1点になってしまいました。

室佐吉作「窓辺の情景」
窓辺から外の風景が見える。
窓辺の静物、そして窓の外の高層ビル群の対比がおもしろい。
でも、前にも見たことあるな・・・と思ったらやはり二年前の日展でも同じ方、同じタイトルの作品を観てました。
しかし、以前観た絵と全く同じに見える・・・。
もちろん同じ絵ではない(はず)ですが、同じ作家さんだからどうしても同じ傾向の作品になるようです。
「似る」のはいいのですが、「同じ」に見えるのはまずいのではないでしょうか。
ピックアップしておいてこんな感想すみませんm(__)m

室佐吉作「窓辺の情景」2010年





<2010-11-30追記>
最近知りましたが、彫刻で入選された阿部鉄太郎さんは高知大学教育学部の講師をされている方でした。
こちらが阿部さんの研究室の公式サイトです。
posted by みどり at 19:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術・展覧会・イベント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月20日

豊島にて「遠い記憶」他/「瀬戸内国際芸術祭2010を巡る旅」再び・その6 


10月27日(水)

硯地区の森万里子さんの作品を観てからは、帰りの高速艇の出発時刻を気にしながら
の移動となりました。

豊島の家浦港から高松港への最終便は17時20分発。
ですが、整理券の発行はその前におこなわれるので、朝、家浦港に着いた時点で係の方から
時間に余裕をもって注意してほしいと釘を刺されてました。
(ネット上を検索すると、最終便に乗り遅れた方達の為になんとか臨時便を手配してくれて
数時間後には高松港に戻ることはできたようです)


バス停「森万里子作品前」で再びバスに乗り向かうは、複数の作品の展示がある甲生(こう)地区。
バスは家浦港でいったん乗り換え。
塩田千春さんの作品「遠い記憶」を観に行くつもりでしたが、ここは「甲生集会所前」で降りて
少し後戻りする感じで歩かねばならない。
でもこの日はバスの運転手さんが「作品そばで下ろしてあげるよ」と、途中で停車してくれました。
感謝!感謝!
バス停からはかなり離れてるから助かりました。

巨大なインスタレーションが印象的な塩田千春さんの作品は、今までなぜかよく見ています。
別に追っかけてるわけではないのに、旅行にいくとそこに塩田さんの展覧会があるのです。
開催されてるとわかれば、せっかくなので見てくることにしてますが。
2008年大阪での「塩田千春 精神の呼吸」展、2009年富山県の発電所美術館での「塩田千春展 流れる水」
2010年春は好きなアーティストさんの作品を目当てにアートフェアのギャラリーに行けば、同じギャラリーの
取り扱い作家さんの一人が塩田さんだと知った。
(ちなみにケンジタキギャラリーです)

そして今回はるばる来た瀬戸内海の豊島でまた出会うとは。
行く先々で同じ作家さん(作品)と出会うというのもおもしろい。

そして、今回。
塩田千春さんの作品「遠い記憶」は元は公民館だった所を使ったインスタレーション。

塩田千春さんの作品「遠い記憶」1



説明をされなければ廃校になった小学校かと思いました。
不要となった家を解体して、取り外した窓やドアを集めて通路が作られています。

塩田千春さんの作品「遠い記憶」2


まるで現在から過去へ向かうタイムトンネル。

塩田千春さんの作品「遠い記憶」3



「かつてそこで暮らしていた人々が見つめていた風景の記憶を表現する」というのが
テーマらしい。

塩田千春さんの作品「遠い記憶」4


塩田千春さんの作品「遠い記憶」5



構築された物は、過去の風景とは全く違った物のはずですが、遠い過去から人々の
ざわめきが聞こえてくるような感じです。


一人旅ですが、ここで通りすがりの方に御願いして自分の写真を撮ってもらう。
今回の旅で、唯一自分が写った記念写真です。

塩田千春さんの作品「遠い記憶」6



この地区にはスー・ペドレーさんの「ハーモニカ」、クレア・ヒーリー&ショーン・コーデロイさんの
「残り物には福がある」はもう帰りのバスの時間が気になってきたので残念ながらパス。


「甲生集会所前」


バス停「甲生集会所前」(上の写真)でバスを待っていると、地元の年配のご婦人が海苔巻きを販売されて
いて「おいしいですよ」なんて言うから、ついつられて購入(^^)

家浦港に着いてから、帰りの高速艇の整理券を確保。
これで一安心です。
乗船までに時間が少しあるので、いそいで港近くの作品に飛んでいきました。




トビアス・レーベルガー作品「あなたが愛するものは、あなたを泣かせもする」1



トビアス・レーベルガーさん作品「あなたが愛するものは、あなたを泣かせもする(日本フランチャイズバージョン)」
このタイトル、なんだかとても身に染みます。
好き!で一人突っ走ってると、どこかでつまづいてしまいますから。


空き家を改装した家全体、中も外も全部で一つのアート作品。
レストランとしても営業してました。
どこに何があるか、見失いそうなくらい派手です。

トビアス・レーベルガーさん作品「あなたが愛するものは、あなたを泣かせもする」2


トビアス・レーベルガーさん作品「あなたが愛するものは、あなたを泣かせもする」3


トビアス・レーベルガーさん作品「あなたが愛するものは、あなたを泣かせもする」4


トビアス・レーベルガーさん作品「あなたが愛するものは、あなたを泣かせもする」5


第一次世界大戦時に船に用いられた迷彩柄、だそうです。
見てるうちに午後5時の閉店時間となりました。



この近くにもう1点、木下晋(きのしたすすむ)さんの作品展示があったのですが
時間切れだし、以前東京の美術館で作品は観たことがある方だったのであきらめました。
数段階の堅さの鉛筆を駆使して人物の顔のアップを描く方。
その細密描写には驚いたものです。

帰りの港で、猫たちがニャーニャーと大騒ぎ。

家浦港の猫たち


仕事帰りのオジサンからお魚をもらえるらしい。
待ちきれなくて、船に飛び乗りオジサンのそばまで行ってしまう子もいます。

下の写真は帰りの高松港へ向かう高速艇から見た家浦港。

高松港行きの高速艇から見た豊島・家浦港


最終便のせいか、係の方や地元の方々がいつまでも手を振ってくれてました。
めいっぱい楽しんだ豊島。
またいつか来られるといいな。

高松港に着いてからはJR高松駅近くのスーパーでお総菜やカップスープ、果物を買いこみ
予約したホテルに向かいました。
今回の宿は夏にも宿泊した「ホテル川六(かわろく)エルステージ」。
安いし快適だったので今回もここにしました。

チェックインしてから、翌日は直島(なおしま)へ行くつもりだったので、ロビーに置いてある
パソコンで今回の芸術祭のサイトを見て混雑状況などを確認。

そして気になっていたのは直島の「家プロジェクト」のなかの作品の一つ「きんざ」。
ここだけが事前に予約してないと鑑賞できないのですが、鑑賞日時は金土日・祝日のみと限られて
いるし一人でしか鑑賞できないこともあり、芸術祭期間中は大変な人気。
予約の受付開始が鑑賞日の一ヶ月前からですが、すぐ予約でうまってしまう。
今回の旅の間に鑑賞したいと思っても、一ヶ月前の朝6時にはもうダメでした。

それでも毎日「きんざ」の予約サイトを見ていると、時々キャンセルが出ることがわかりました。
もちろん人気があるから、キャンセルが出てもすぐに予約でうまる。
これは毎日チェックしていけば、キャンセルがねらえるかも。
そう思って、この日もチェックしてたら・・・なんと翌々日の夕方にひとワクだけキャンセルが
出てるではないですか!
あわてて予約を入れました。
なんてラッキー!

そんなわけで急きょ予定変更。
翌日は女木島(めぎじま)と男木島(おぎじま)へ行くことにして、直島は翌々日にいくことにしました。

翌日の予定も決まり、安心してホテルの部屋で一人夕飯としました。
豊島の甲生集会所で買った海苔巻き(と、おいなりさん)。
この写真、箸やら、小物が散らばっててなんかだらしないですねf(^ー^;
(しかも海苔巻き、一部かじってるし・・・)
プラスチック製の赤いマグカップは、私の一人旅の必須アイテムです。

甲生集会所前、で買った海苔巻き


もちろん、これは夕飯のごく一部。
買ってきたお総菜でお腹いっぱい、ホテルの大浴場でのんびり。
JR高松駅周辺にはホテルはいくつもありますが、ここに決めたのは大浴場があるからでした。


私の旅行記も、ようやく第1日目のことが書き終わりました。
長々と書きましたが、ここまでのお付き合いありがとうございました!

第2日目、女木島(めぎじま)と男木島(おぎじま)へ行ったお話は、また後日に。

☆瀬戸内国際芸術祭2010の公式サイトはこちら

2010年11月19日

映画「インシテミル 7日間のデス・ゲーム」

映画「インシテミル 7日間のデス・ゲーム」



映画「インシテミル 7日間のデス・ゲーム」@MOVIX亀有
監督:田中秀夫   原作:米澤穂信  美術:斎藤岩男
出演:藤原竜也、北大路欣也、片平なぎさ、武田真治、綾瀬はるか、他
映画公式サイトはこちら

11月2日に観に行っています。
以下、ややネタバレを含みますのでこれから映画をご覧になる方はご注意ください。


原作は全く知りませんでした。
「このミステリーがすごい」2010年度版で作家別投票で第1位になったそうです。

映画は割と楽しめました。
割と、と書いたのは「これちょっとおかしいだろう」と思う演出のアラがあちこちで目立つ
からです。
たぶん原作小説の方は、きちんと細かい説明もあるのだろうと思いますが・・・。


<あらすじ>
何かの実験の被験者バイトらしい時給11万2千円という超高額報酬につられてとある施設に
やって来た10人。
フリーターの結城(藤原竜也)もその一人。
彼らは実験施設である密室空間「暗鬼館」で7日間過ごすことになる。
ドアには鍵はかからないがそれぞれ個室が与えられ、食事も提供されるので不安を抱えつつも
安心するが、夜22時から翌朝6時までは部屋で過ごし、出れば「排除される」と警告もされる。
ここは特別なルールが適用される空間らしい。
二日目の朝、一人が殺されていることが分かる。
犯人は誰なのか?
そして部屋にはそれぞれ殺傷能力のある「凶器」があることも分かるが・・・





あちこちでこれおかしいんじゃない?と思うことが多すぎます。
最初の殺人が起こったとき、結城が自分の部屋で凶器を見つけ驚くが、何でここに?と
思ったとき、勝手に部屋に入って来てた祥子をなぜ疑わない?

7日間過ごす密室空間「暗鬼館」に入る際、被験者達は手荷物を預けるため、着替えも
もってないのに服は毎日クリーニングしたてにみえる。

顔見知りの相手と室内で7日間過ごすのに、しっかりネクタイしっぱなし、ブレザーコートの
ボタンもきっちりかけている。こんなこと通常あり得ない。

そして女性達は化粧品など無いはずなのに、毎日バッチリメイク顔。
就寝前のベッドの中でもメイク顔。

被験者の中に、実験者側の人間が交じっているのでは?と当然予想させますが
全く予想どおりの展開なのも、うーんこれは・・・でした。




でも、部屋に置かれ被験者達に警告と連絡の伝達をする、インディアン人形は日村勇紀さんの
ユーモラスな声がかえって不気味な感じを醸し出すのはおもしろい。
ホラー映画「SAW」シリーズに登場する「人形」をまねたような感じですね。
不気味さでは「SAW」の方が数段上ですが。

そして暗鬼館を徘徊する監視ロボットの存在の不気味さ、この演出はとてもよかったと思います。

出演者は豪華ですので、「この方のファンなの」というだけで見るのも良いかもしれません。
ちなみに私は藤原竜也くんのファンなので観てきました(#^_^#)







以下、余談となります。

密室ミステリーというと、私は映画ではビンジェンゾ・ナタリ監督「CUBE」が一番の傑作だと思っています。
こちらは目が覚めるといつの間にか立方体の空間に閉じこめられた男女の物語。
誰が何のために?は最後まで明かされないまま。
でもこれがかえって「謎」になっておもしろかったのです。

去年公開された映画「実験室KR−13(サーティーン)」も今回の映画と内容的には
似ていて、こちらは実験に集まった被験者達に「問題」が出され、解答できないと「脱落者」が
でるという設定でした。
「脱落者」とは殺されるということ。
こちらの映画は実験者側の様子も最初からバッチリ描いていて、なんのヒネリもないので映画的にはイマイチ。
(リンク先は自分の感想です)

変わったところではアルフレッド・ヒッチコック監督「救命艇」という作品があります。
魚雷攻撃を受けた船から脱出した男女が、一艇の救命艇に逃げ延びる。
まさに究極の密室。
漂流中の様々な人種・職業の人々のドラマはおもしろかったです。



世界名作映画全集 救命艇 [DVD] / タルラ・バンクヘッド.ウィリアム・ベンディックス (出演); アルフレッド・ヒッチコック (監督)
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2010年11月17日

豊島にて「トムナフーリ」/「瀬戸内国際芸術祭2010を巡る旅」再び・その5 


10月27日(水)

唐櫃(からと)港からバスに乗って硯(すずり)地区へ。
ここにあるのは森万里子さんの作品「トムナフーリ」1点のみ。
「トムナフーリ」とは古代ケルトにおける霊魂転生の場のこと、だそうです。

バス停「森万里子作品前」で下車。
ここからかなり足場の悪い細い小道を登っていきます。

豊島 「トムナフーリ」1


まだまだ。

豊島 「トムナフーリ」2


ガイドブックにはバス停から徒歩3分なんてかかれてましたが、かなりしんどいです(x_x)

豊島 「トムナフーリ」3


街灯もないし夜間の立ち入りは不可能でしょう。
雨の日には登るのは危険かも。


実際、日によっては立ち入り禁止になったこともあったようです。


やっとこさ見えてくるのは、池の向こうにある白いオブジェ。
ガラスのモニュメント。
登った先に池があるというのが意表をつきます。
(後から知りましたが、ここは農作業用の溜池だったそうな)

豊島 「トムナフーリ」4


距離がどのくらい離れているのか分からないので、大きさが判断できません。
3、4メートルくらいの高さか??

この作品と、岐阜県の神岡鉱山地下に設置されたニュートリノ検出装置・
スーパーカミオカンデ(Super KAMIOKA Nucleon Decay Experimentの略称)
がコンピュータで結ばれているそうです。
超新星(星が崩壊する最後の爆発)が現れるとモニュメントが光り輝くのだそうです。

星が爆発するとき、核反応が起こり大量のニュートリノが発生。
ニュートリノは宇宙空間を飛んで地球にも到達する。
太陽からのニュートリノも届くそうです。
大宇宙のダイナミックな動きを、日本の地下深い場所で観測しようとするのがスーパー
カミオカンデですが、それをアート作品に取り入れてしまおうと考えつくところがすばらしい。
脈動する宇宙と直結し、意表をつく立地条件。
アイデアで成功した作品、という感じがします。


ところでKAMIOKANDEの「N」はてっきりNeutrino(ニュートリノ)の頭文字だと思って
いたのですが、以前受講した放送大学の「宇宙を読み解く」ではNucleon(核子)と解説
されていました。
文字通り訳すと「Nucleon Decay Experiment=核子崩壊実験」と言うことになりますね。

スーパーカミオカンデの詳しい解説はウィキペディアのサイトをご覧下さい。

あいにく明るい昼間は作品が光っても、たぶん分からないでしょう。
それでなくても、太陽からのニュートリノでも一日の観測値は十数個だそうなので、
光っているところを見るのはかなり幸運でないと無理のようです。

以前、NHKの日曜美術館でこの作品が輝いているところをみせてくれました。
時間を短縮してみせていたようで、カメラを一晩設置して撮影したようです。

なんかせっかくというか残念というか・・・なので自分の写真を加工してみることにしました。
テレビで見たのはこんな感じです。

豊島 「トムナフーリ」5


作品が本当に光輝くところを自分の目で観た方、何人いるんだろうか?
もしかしたら作者様だって見てないかも知れない。


この後、またバスに乗って甲生(こう)地区へ移動しました。

続きはまた後ほど。

☆瀬戸内国際芸術祭2010の公式サイトはこちら



<2010-11-19追記>
ネット上を検索しても、この作品が光っているところを見た、という記事は見つけられませんでした。
が、2006年の森万里子さんの展覧会ですでにこの作品「トムナフーリ」が登場してるということがわかりました。
この時の作品をそのまま使っているのかどうかは分かりませんが、この時の大きさは高さ3メートルだそうです。

2010年11月15日

豊島にて「空の粒子」他/「瀬戸内国際芸術祭2010を巡る旅」再び・その4 


10月27日(水)

クリスチャン・ボルタンスキーさんの「心臓音のアーカイブ」を出てからは、
バス乗り場のある唐櫃(からと)港へ歩いて行きました。

港にある観光案内板も、この芸術祭の作品でジョゼ・デ・ギマランイスさんの作。
唐櫃港にかぎらす、他の港にも設置されていました。

ジョゼ・デ・ギマランイスさん作「掲示板」



バスに乗って「清水前」で下車して唐櫃岡地区のアート作品を見て回りました。

バス停からは神社の鳥居が見えましたが、そのすぐそばにあったのが青木野枝(あおきのえ)さん
の作品「空の粒子/唐櫃」

青木野枝「空の粒子/唐櫃」


錆びた金属製の棒のような物を組み合わせたオブジェでした。
観に行ったときは気がつかなかったけど、作品は貯水タンクの上に設置されていたのでした。
作品の中に入ると、わき水の流れる音が聞こえた・・・らしい。





一つの家が作品になっていたのが藤浩司(ふじひろし)さん作「藤島八十郎(ふじしま
はちじゅうろう)をつくる」
写真は道から、家の入り口を見上げたところです。

藤浩司さん作「藤島八十郎をつくる」1


藤島八十郎という架空の人物を創りあげ、彼の暮らすロッジを公開している・・・という
趣向の作品。

藤浩司(ふじひろし)さん作「藤島八十郎をつくる」2


彼の暮らす家の中、小物や本棚、そして知人からの手紙も公開されている。

藤浩司(ふじひろし)さん作「藤島八十郎をつくる」5


藤浩司(ふじひろし)さん作「藤島八十郎をつくる」3


藤浩司(ふじひろし)さん作「藤島八十郎をつくる」4





「島キッチン」は遠くから観ただけ。

島キッチン


こちらはレストランとして営業もされていましたが、芸術祭期間中は大変な人気で
午前中には整理券配布が終わっているくらいでした。
(中を見るだけなら鑑賞可)
「食とアートで人々をつなぐプラットホーム」というコンセプトでつくられたそうだ。



そして建物の写真も撮らなかったのですが、「ストーム・ハウス」という作品も観ています。
ジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレス・ミラーさんの作。
民家を使ったインスタレーションで、外見は普通の家。
中にはいって、家の外で起こっている大嵐を体感するというもの。
大雨が降り、実際窓を見るとぬれているし(窓ガラスが二重になっている)、雷鳴で家も揺れる。
アート作品という感じはあまりしなかったです。
何かに似てると思いましたが、今やっと気がつきました。
これ、子どもの頃遊園地で入った「びっくりハウス」にそっくりだわf(^―^;

唐櫃岡は道がごちゃごちゃと入り組んでいて、案内表示があっても各作品を回るのはわかりずらかったです。
この後再び「清水前」バス停に戻ってからバスに乗って硯地区へ向かいました。

続きは、また後日に。


☆瀬戸内国際芸術祭2010の公式サイトはこちら


2010年11月14日

「北原照久の超驚愕現代アート展」のムットーニ上演会を観る

北原コレクション・ムットーニ作品1


北原コレクション・ムットーニ作品2


「北原照久の超驚愕現代アート展」のムットーニ上演会を観る@森アーツセンターギャラリー
展覧会公式サイトはこちら

おもちゃコレクターとして有名な北原照久氏が長年コレクションしてきた作品の展覧会。
私はその中でもムットーニこと、武藤政彦氏の作品が大好きなのでこれが見たくて計4回
足を運びました。
武藤氏の作品には、いつも引き込まれます。
箱の作品、一つ一つに物語がある。
一つの作品がまさに小宇宙に見えるのです。


でも武藤氏の作品は自動人形作品なので、動いてないことには残念ながら魅力が半減。
10月に2回あった武藤氏ご本人による上演会(解説と共に作品を動かしていだだける)は、
都合がつかず行かれませんでした(T.T)

それでも会場内、写真撮影がOKだったので作品が動いてないと解っても2回行き、
北原氏のトークがある時は、北原氏が作品を動かしてくれると知ってトークのある
11月3日にも行く。
(この時は、アーティストの福本正氏と北原氏のトークでした)
トークの後で、北原氏はムットーニ作品を動かして見せてくれました。
動いていないと、良さが解らないと思ってのことでしょう。

ところで武藤氏の作品が展覧会場の中で、写真撮影OKという機会は通常まずありません。
今回は北原氏のご厚意に感謝です。



武藤氏は同じタイトルで何点か作品を、作っていますが北原さんがお持ち
の作品が初期作品。
現在の作品に比べると作風も、人形の顔もやや素朴な感じがします。
ここから今につながっているわけで、作風がだんだんと洗練され変化し、作品に
よっては大型化していったのがよく分かりとても興味深かったです。

自分の記憶をまとめておくためにも、観た作品について書き留めておきます。
もちろんムットーニ作品を知らない方にも、ぜひ機会があったら観ていただきたいのです。
こんなきらびやかで夢のある世界、知らないなんてもったいない!

一つ一つの作品には、それぞれ短い物語があるのですがとても全部はご紹介しきれない
ので一部だけにしておきます。


この日(11月3日)、動かしていただけたのは4点。
「ギフトフロムダディ」 1991年作品
父からプレゼントをもらい宇宙の夢をみる少年の物語。
これも後年大型の作品を作られている。

北原コレクション「ギフトフロムダディ」




「THE NIGHT & DAY ON A PLANET」 1993年作品
大都会の公園で語り合う恋人達。


「サテライトキャバレー」 1993年作品
未来のキャバレーで昔のステージを懐かしんでおこなわれるショータイム。
北原コレクション「サテライトキャバレー」



「カンターテドミノ」 1993年作品
北原氏の人々の夢を与えるような作品を作ってほしい、というリクエストに応えてつくられたのがこの作品。
というお話は、今回はじめて知りました。
これも後年、さらに大型の作品を作られている。
これこそ多くの方に動いているところを観ていただきたい作品です。
中央の空間が空き、奏者がパイプオルガンを演奏していると、オルガンが開きそこに天使の姿が現れさらに彼女が天空に上昇する作品。
ラストで会場の天上に天使の姿が映し出されます。
北原コレクション「カンターテドミノ」


後年の作品ではさらに大がかりな演出になっています。
ラスト、天使は天上ではなく作品のバックの上の空間(壁)に現れる。



「THE BERLLS RING SOON BEFORE(やがて鐘が鳴る)」 1993年作品
飲んだくれの旅の楽士が野宿中。やがて教会の鐘がなり、夜空に天使の姿が現れる。
彼にも天使は微笑んでくれているという作品。
北原コレクション「THE BERLLS RING SOON BEFORE(やがて鐘が鳴る)」




そして待ちこがれた11月6日の上演会。
上演会は13時、15時、17時と三回あるので一日会場に入り浸ろうと決めていました。
すでに3回行ってるから写真撮影もしないことに決め、上演会に集中するつもりでした。


1回目の上演会が始まる前には、早めに行って会場の座席最前列を確保。
やっと作品の動くところが観られるのかと思うと本当にドキドキしました。

1回目の上演会で観られたのは
「ギフトフロムダディ」
「サテライトキャバレー」

そして「まなざし」 1992年作品
キリスト教が異教とされた地。
キリスト教を信仰し、そのため父に部屋に幽閉されたがそれでも信仰を持ち続けた乙女の物語。
ラストで上空に天使が現れます。


北原コレクション「まなざし」1


北原コレクション「まなざし」2




展示会場に場所を移してから
「TWO NIGHTS」 1994年作品
歌を愛する女性が都会の公園で一人、自分のために歌う一つめの夜。
その後、彼女のバックにビッグバンドが現れステージで歌う姿に変わる二つめの夜。

北原コレクション「TWO NIGHTS」



「カンターテドミノ」


上演会の後で、作品のメンテナンスをされていたので作品の動いている
ところが観られたのが2点。
幸運でした。

「囚われのバニー」 1992年作品
これはファンの間でも人気の高い「バニーズメモリー」の初期形。
場末のキャバレーの小さなステージで踊る一人のバニーガールの物語。
ステージで踊る彼女はやがて一羽のウサギにかわり、部屋のドアが開くとそこに解放された彼女が
たたずんでいます。
北原コレクション「囚われのバニー」


後年の「バニーズメモリー」ではラストでステージで女性が完全に消えると、ドアが開いて
そこに彼女の姿が現れ、さらに客席のイスがくるりとこちら観客側に向くとそこには一羽の
ウサギがいる、という凝った展開になっています。





「女王の涙」 1991年作品
女王のミイラが呪文によって生きた女王に蘇るが、再びミイラに戻ってしまうという物語。
こちらは内蔵されたカセットテープのテープが中で絡んでしまって、武藤氏がいそいでテープを手で
巻き取って応急処置をされていました。

北原コレクション「女王の涙」






2回目の上演会では下記の作品。
「ギフトフロムダディ」
「サテライトキャバレー」
「まなざし」

場所を移してから
「THE BERLLS RING SOON BEFORE(やがて鐘が鳴る)」
「カンターテドミノ」


3回目の上演会では、下記の作品。
「まなざし」
「サテライトキャバレー」

そして初めて観る「PANDORA`S FOREST(パンドラの森)」 1992年作品
何しろ1回しか見てないので物語をよく覚えていません。
これもバックの空間に天使の姿が現れる。

北原コレクション「PANDORA`S FOREST(パンドラの森)」


この作品、世田谷文学館に常設展示されている「山月記」を連想させます。




場所をうつしてから
「TWO NIGHTS」
「カンターテドミノ」





その後19時から北原さんのトークがありその時も、作品上演がありました。
(もちろんこちらも観てきました)
この時は以下の三点でした。

「THE BERLLS RING SOON BEFORE(やがて鐘が鳴る)」
「THE NIGHT &DAY ON A PLANET」
「カンターテドミノ」



ファンとして聞いてとても興味深いのは「SKYSCRAPER(摩天楼)」と
「THE NIGHT &DAY ON A PLANET」の関係です。

北原氏のお話と、今まで武藤氏の個展の上演会でうかがってきた話を総合すると
以下のようになるようです。

「SKYSCRAPER(摩天楼)」は全部で三作ある。
北原氏の持っている作品が初代(1989−1991年作品)。

北原コレクション「SKYSCRAPER(摩天楼)」


北原氏の持っている作品を観た方の中に、日産グループのCMを作る方がいて
この作品をCMに使うことになったが、人形の顔が気に入らない。
北原氏のアドバイスで、武藤氏が人形だけ新しく作ったのだそうです。
下の写真がその人形です。
(人形の男性の顔が武藤氏ご本人に似ているきがします。ならばおそらく女性の人形は奥様似か?
よけいな推測、すみません)
北原コレクション「THE NIGHT &DAY ON A PLANET」人形


人形だけすげ替えて撮影されたのが、
こちらのCM。

撮影場所は北原氏の家ではなく、武藤氏のアトリエ(の倉庫だったか?)。
撮影する際、カメラが後ろに引けないのでアトリエのドアを取り外して撮影されたそうです。

撮影が終わって、人形が元に戻されると新しく作った人形が残る。
残った人形を使って新たに作られた作品が「THE NIGHT &DAY ON A PLANET」で

北原コレクション「THE NIGHT &DAY ON A PLANET」


この作品をみて当時の北原氏は大感激したのだそうです。
(2点の作品の制作年を考えるとCMが作られたのは1992年前後ですね)


3回の上演会を観て、やはり武藤氏の作品はご本人の役者ばりのなめらかな口上と作品で、一つの作品になっていると感じます。

結局、この日は午後12時半頃から北原さんによる上演が終わった午後8時ちょっと過ぎまで会場に
居座っていたことになります。
会場内はトイレがないのですが、係の方に言えば小さなカードを持って出入りすることはできました。

会場では、すでにムットーニ展では何度もお会いしているファンの方々と再会できたので、
これもまた楽しかったです。
地方から駆けつけて来るファンも少なくありません。



そして、この日お会いしたファンの方に言われて私も改めて気がついた事が。
北原氏のコレクション展は今回が初めてではなく、2002年にもおこなわれていたことです。
横浜・そごう美術館でおこなわれた「驚異の現代作家たち 北原照久アートコレクション展」
なのですが、この時は私も観て無くて後日展覧会カタログだけネットオークションで入手してました。
自分では見てない展覧会だったので、このカタログを持っていること自体忘れてました。

「驚異の現代作家たち 北原照久アートコレクション展」展覧会カタログ1


ところでこのカタログがとても良くできているのです。
武藤氏の作品については、この時展示された31点全て明かりが付いた状態(稼働時)の
カラー写真掲載。
作品1点につき、複数の写真で紹介し細かい解説まで付いている。
(今回の展覧会カタログでは、数点しか載ってない)

kitart17.jpg


北原氏のコレクション展、またいつか開いていただけたらと思います。




今年の夏には四国と瀬戸内海で開催された瀬戸内国際芸術祭を観に行った際、高知県まで
足をのばし、高知県立牧野植物園に常設展示されている武藤氏の作品「標本の記憶
MEMORY OF SPECIMENS」
を観ていました。
これは植物学者・牧野富太郎博士をモチーフにした作品。
植物の精霊から啓示を受けているような牧野博士の姿がありました。
細部まで丁重に作られ、たしかブライアン・イーノのCD「Apollo」の中の
「An Ending (Ascent) 」という静かな音楽を使った幻想的な作品。

できることなら、武藤氏にこの作品の事についてうかがってみたかった。
次々いろんな方と話をされているからとてもじゃないけれど、一般人の私など声をかける隙など
全くありません。
ちょっと・・・いやとても残念でした。



来年はケンジタキギャラリーや八王子市夢美術館での展覧会もあるそうなので
また作品と出会えるのを楽しみとしたいです。



<2010-11-16追記>
作品制作年を追記。
そして作品紹介を少々書き足しました。

posted by みどり at 22:27| Comment(7) | TrackBack(0) | 自動人形師ムットーニ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする