2009年05月19日

「タトゥー」

「タトゥー」


「タトゥー」@新国立劇場 小劇場
作:デーア・ローアー  演出:岡田利規
出演:吹越満、柴本幸、鈴木浩介、内田慈、広岡由里子
美術:塩田千春 (チラシの美術も)


5月15日(金) 初日公演を舞台脇のBR列席で観ています。
劇場内に入って目にまず付くのは舞台上に無数につるされたたくさんの額縁。
と、思ったら窓枠でした。
ガラスが入っているのと、入ってない物があります。
つるされた窓枠は舞台上を覆い尽くすようにあるので、一瞬演劇公演ではなく
美術館の展示室に迷い込んだ気になってしまいます。

お話はこんな風
とある家族。
父(吹越満)と母(広岡由里子)と、二人の娘。
一見どこにでもあるような普通の幸せな家族、じつはある「秘密」がありました。
そのため母はついに家をでる。
長女(柴本幸)も子どもができたから恋人と結婚すると言って家をでる。
「私を見捨てるの」と姉に訴える妹。
長女が生むのは実は「父」の子どもなのかも。妹もすでに父との「関係」があるらしい。
己の蛮行を正当化しようとする父。
家族とはなんなのか。


岡田利規さんは、劇団チェルフィッチュの作・演出をされてきた方。
チェルフィッチュの公演は去年初めて観ましたが、この時は驚きました。
全然演劇公演にみえなかったからです。
その時の感想はこちらにまとめています。
出演者のしゃべり方は、あまりにも素人っぽくて「セリフをしゃべっている」という感じではありませんでした。
台本が無くて、あらすじだけ出演者に言い渡してるのかと思ったくらいです。
しかし、そうではないと知ってまたびっくり。

今回の出演者のしゃべり方も全く同じでした。
しかし、普通に素人っぽくしゃべるというというのは逆に大変な事なんだなと感じました。
おそらく、今回の出演者の中では一番年長のはずだし演劇公演も一番場数を
こなしているはずの吹越さんのしゃべり方が、一番わざとらしくきこえたからです。
なんとか普通にいかにも素人っぽく・・・を、意識したからなのかなんだな本を
棒読みしてるようにきこえました。

しかし、戯曲そのものが散文詩のような描き方になっているらしい。
と、すると岡田さんの演出は詩のセリフを、観客にそうと聞こえるように演出して
見事に成功してる、という所でしょうか。

家族の形を保っていたいと思っている父、母、姉、妹。
でも父は蛮行を止めないし、母はうわべを取り繕うことにつかれ、姉は父との関係を仕方ないと
ばかりに受け入れていたが恋人ができたことで逃げだし、妹は姉に助けてもらいたいのに
思うようにならない現状に攻撃的になる。

家族の形が崩れそうになっているけれど、それでも家族の形にこだわっている4人の
物語。
この物語を普通の芝居で見てしまったら、恐ろしくやりきれない物語のはず。
なのに岡田さん演出はとても無機質でじめじめして無くて、むしろカラカラに
乾いた感覚がありました。



ケンジタキギャラリー「塩田千春展」2009年


舞台美術を担当の塩田千春さんの個展が、新国立劇場からも徒歩で行かれる範囲にある
ケンジタキギャラリー」で開催中なので、開演前に観てきました。
会場にはいると、そこは白い周囲の壁に赤い紐が張り巡らされた空間。
ギャラリーは小さいので、その小さな空間がそのまんま塩田さんのひとつの作品となっています。
ドローイングの展示もあります。
舞台「タトゥー」の世界がより広がってみえてくる、そんな気がします。
こちらもお勧め。




posted by みどり at 22:39| Comment(0) | 演劇・ダンス・芸能 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする