2008年10月08日

「THE DIVER(ザ・ダイバー)」

「THE DIVER(ザ・ダイバー)」



「THE DIVER(ザ・ダイバー)」@シアタートラム
作・演出・出演:野田秀樹
出演:キャサリン・ハンター、ハリー・ゴストロウ、グリン・プリチャード



9月28日(日)に観に行っています。
人気の野田秀樹さんの公演なので、当初一般発売日に入手できなかったのですが
(発売開始2,3分で完売した為)、追加公演となったこの日のチケットを無事入手
出来ました。

去年の公演「THE BEE」でも野田さんと競演した、キャサリン・ハンターさんが再び
登場の舞台です。

<あらすじ>
冒頭、どうやらそこは警察の取調室らしい。
放火殺人を犯した女性(キャサリン・ハンター)、彼女の精神鑑定をする医師(野田秀樹)。
彼女ははからずも妻子ある男性と深い仲になってしまい、彼の誠意のない態度と、彼の妻の見下した
ような振る舞いに次第に正気を失って行くのですが・・・。


今回の公演は先に今年6月にロンドンで幕を開け、反響を呼んだ舞台だそうです。
公演は英語上演、日本語字幕付き。
去年観た「THE BEE」ではキャサリン・ハンターさんは男性を演じていたので、今回
女性を演じているのが、とても新鮮に見えます。

インタビューで野田さんが答えていますが、今回の作品は能の「海人(あま)」、
「葵上(あおいのうえ)」、そして「源氏物語」の三つの題材から成り立っているそうです。
「葵上」は源氏物語の中のエピソードを抜き出した物。三島由紀夫が近代能楽集
の一編として書いているおかげで私もこの話を知っていました。
源氏の正妻・葵上と、源氏の愛人・六条御息所(ろくじょみやすのどころ)の話。
六条御息所は源氏と会えない事を苦にしていて、その生き霊が葵上に取り憑いて
彼女を取り殺すというもの。

「海人」は高貴の生まれの男が、唐の国から賜った物を探すため、息子が生まれたら跡継ぎにする
約束をして身分の卑しい「海人」と契りと結び、海の底にある宝を探しに行かせる、とういう話だそうだ。

舞台では囃子方の生演奏もあります。
太鼓と笛ですが、冒頭の大きくドンドンと太鼓がなるのは何だかハデすぎるようなきがしました。
でもきっとロンドン公演では日本らしいという事で受けたのでしょう。
その後は、舞台の内容とよくあってる気がしました。


現代の放火犯の女性の話と、古典の六条御息所と葵上と源氏の話がダブりますが
現代と古典の世界が瞬時に入れ替わるようすもおもしろい。
出演者は長い布を身体にまとっただけで、着物を着たように見えてきます。
放火犯らしい女性は、古典の世界では六条御息所になり、野田さんの精神科医は
古典の世界では葵になってしまう。

キャサリン・ハンターさん演じる女性も現代と古典の世界を行き来する間に、次第に
正気を無くしていく様子が怖い。
周囲にわめき散らすのではなく、深く静かに潜航する狂気。

ジーパンから赤い布を引っ張り出して行く様子が、まるで自らの手で子宮から胎児を
かきだしているように見えて、思わずゾッとしました。

女性が海に潜る場面もあります。
ゆっくりとした動きで、一瞬で舞台の上が海中に見えてくる。
広々とした海は胎児の浮かぶ羊水のイメージとダブりました。
海中は、不倫相手に捨てられ、お腹の子どもも無くした女性の行き場を失った混沌とした心の世界にも
例えられているようです。
しかし、その割には野田さんの舞台は理路整然としていてとてもわかりやすいです。


公演はすべて英語での上演ですが、後半一言だけ野田さんが女性に向けて発する
脅しのセリフ(これだけ日本語)が思わず身震いしそうになるほど怖かったです。


posted by みどり at 07:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇・ダンス・芸能 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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