2008年10月07日

映画「尼僧ヨアンナ」

特集:川喜多かしことヨーロッパ映画の黄金時代
映画「尼僧ヨアンナ」@東京国立近代美術館フィルムセンター
監督:イェジー・カワレロウィッチ  原作:ヤロスワフ・イワシュキェヴィッチ
出演:ルチーナ・ウィンニッカ、ミェチスワフ・ウォイト、他
1961年 ポーランド映画 白黒作品


9月27日(土)に観に行っています。
以前から観たいと思いつつ、なかなか観る機会の無かった映画でした。
中世フランスで実際にあったことを元に書かれた短編小説、の映画化だそうです。

分類的に言うとホラー映画になってしまうのですが、白黒の映像と、どこか絵画的なシーンがとても美しい映画でした。

<あらすじ>
寒村の尼僧院に向かう司祭のスリンは泊まった宿で、そこの尼僧達は皆悪魔に
取り憑かれているという村人達の噂を耳にします。
実はスリンはその悪魔払いにやって来たのですが、その前任者は失敗し院長ヨアンナの
魔性の虜になり、火あぶりの刑に処されていた。
普段はしとやかな尼僧たちですが、とりついた悪魔が現れるとたちまち情欲のままに振る舞う。
院長の美しいヨアンナも同じ。
誘惑に負けまいとするスリンでしたが、ついにヨアンナの虜になってしまいますが・・・。


ハデな演出も、特別な音楽もなくホラー映画といってはまちがいでは、と思うくらい淡々とした映画です。
1950年代60年代といったら、アメリカやイギリスでもっとハデなホラー映画(ドラキュラものや、
ミイラものとか)がどんどん作られていた時代だったと思いますが、この映画はまったく傾向が違います。
いかにもヨーロッパ的、というのでしょうか。

しかし地味な演出の映画かというとそうではない。
尼僧院になぜこんな若くて美しい院長がいるか、と思うくらいヨアンナはきれいです。
白(白黒映画なので実際の色はわかりませんが)の僧服が、つい思わず着てみたい
と思うくらい似合っています。

淡々とした映画と書きましたが、かなり過激なシーンもあります。
悪魔の現れたヨアンナがスリンの前でパッと衣をたくし上げて素足を見せ、次の
シーンでは左手をバンと壁にたたきつけ手形をつけて去ってゆくシーン。
一瞬何が起こったのか?と思いますが別の尼僧が「女の血をかき集めた」とスリンに説明しているので、
その手形は生理の経血によるものとわかります(・・・ゲゲッ)
あからさまな場面こそ出てきませんが、内容そのものはかなり強烈です。

悪魔に取り憑かれた尼僧達が教会で動き回るシーンは、白い衣がヒラヒラと舞い
まるでダンス。やはりきれいです。

スリンが自分ではどうしようもなくなったのか、恐れと不安からユダヤ教の司祭に悪魔について
相談する場面も印象的。
宗教の違いとはなんだろう?ふと思う場面です。

一人の尼僧が僧院を抜け出し、村の宿屋兼酒場にいつもやって来ます。
酒場で酒を飲み、歌を歌う。尼僧にあるまじき行為です。
どうやら旅の男といい仲になってしまったらしい。
映画の後半、男はさっさと旅立ってしまい彼女は「捨てられた、どうしよう」と泣いて
ヨアンナの元に行きます。
悪魔が取り憑いた、と言うよりも彼女はこの物語の中で一番まともな生身の人間に
見えてきました。








posted by みどり at 23:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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