赤目四十八滝を抜けて「出合」に出て、一休みしたところでまた出発です。
ここからは香落渓(こおちだに)の「落合バス停」を目指します。
時刻は12時半頃。
「出合茶屋」のバス停を200メートルばかり過ぎると「ハイキングコース」の看板が
ありました。
ここから落合バス停までは約2,6キロだそうです。
ガイドブックではここから約1時間半かかると書いてあるけれど、私の足だとたぶんもっとかかる
だろうなと考え、余裕を持って出発です。
「落合バス停」から名張行きの直通バスは途中通行止めのため無いけれど、変わりにいったん反対方向へ
向かい遠回りして「敷津(しきづ)」へ行く臨時バスが4時出発で出てるそうです。
敷津に4時48分到着予定。ここから名張行きのバスが5時に出発、5時54分に
名張駅到着予定です。
コンクリートで簡単に舗装された道を延々と上り続けますが、まだ登りなの?と
思ったあたりでコンクリートの舗装がぷつっと無くなります。
遊歩道は続いていますが、まるで荒野に放り出される感じで一人だとちょっと途方にくれます。
気を取り直して歩く歩く。
赤目滝とは風景が全く変わって、こちらは完全に山の中。
坂もわりと急、あまり人も通らないせいか遊歩道の岩が苔むしていてとても滑りやすい。
私は今回3回滑って転びました。
赤目滝はスニーカーでもいいけれど、出合から落合に向けては軽登山靴のほうが
いいようです。
聞こえてくるのは鳥や蝉の鳴き声ばかり。
空が少し曇ってきた時、しばらくなんの物音も聞こえなくなるときがありました。
あれだけ鳴いていた鳥や、蝉はどうしたの?というくらいシーンとして、なんだか
怖いくらい。
しばらくして陽がでてくるとやっと森の中もざわついて、少しほっとします。
山の中をみると、木々が倒れてまるで鉛筆をばらまいたように見えるところがありました。
木は枝が落とされているし、上下カットされているから人の手が加わっているようですが、
苔が生えているからそこに倒れてから随分日時がたっているようです。
なんでこういう風になっているのか理由が分かりません。
スッと細く立った木々。
写真に撮るとまるでマグリッドのだまし絵のようです。
歩いていると生えている木に、時々赤いひものような物が巻かれているのがありました。
これも何かの目印なのかな?
歩いていて、足元をみると人が歩いた気配がないけれどなんだか絵に描きたくなるような景色です。
手持ちの7年前に購入したガイドブックに書いてあった「小笹峠」というのはどこだか分からず通り越したみたい。
「香落茶屋の展望台」も無かったけれど、それらしき残骸はありました。
写真に撮るきがおきないくらい朽ち果てた小さな売店、壊れた椅子も2脚、そして
展望台らしき残骸。
一時期はここで商売をしてたこともあるようですが、ここまで品物を運ぶのはかなり
大変そうです。おそらくすぐ店じまいしたのでしょう。
しばらく歩くと、車のドアがぱたんと閉まり出発する音が下の方に聞こえてきました。車道がある。
どうやら落合バス停が近いようです。
ずっと山の中を歩いてきたので、人の気配を感じるとホッとします。
少し歩くとひらけた所に出ました。ここで午後2時ちょっと過ぎ。
木の切り株もあるし、椅子代わりにして一休みするのにちょうどいいな・・・と、思って
回りを見ると、ここに来た人はみな同じ事を思うらしいと分かりました。
なぜって、ペットボトルや空き缶が転がっているからです。
ここまで来て平気でゴミをすてるなんて・・・。
ゆっくり歩いてようやく午後3時ちょっと前に「落合バス停」到着です。
バス出発は4時だから早すぎたけれど、遅いよりずっといいです。
バス停は小さな小屋になっていて、きれいだけれどそこに座っているとなんだか
自分がゴミ置き場のゴミになっているような感じで気分悪いので、荷物だけ置いて
近所をプラプラ歩いてみました。
小さな旅館があったけれど、どうもほぼ休業中らしい。
このあたりの観光シーズンは紅葉の時期のようです。
景色がごちそう。
そうそう赤目滝に入ってからは携帯電話もぜんぜん通じませんでした。
ここ、落合は開けた場所だけど山に囲まれているせいか、やっぱり通じません。
しばらく待っているとようやくバスがやって来て、はるか離れた場所に止まりました。
私のいるところがバス停だから、当然こっちに来てくれるだろうと見ていたらバスから
年輩の運転手さんが降りてきて、来い来いと手招きするではありませんか。
私が行くのかい!? (¨;)
おいおいーーー、と思いつつ走っていきました。でもバスに乗れて良かった。
お客は私一人です。
運転手さん、途中でバスを止めて「釣れる?」とドアを開けて誰かと話をしてる。
お客さん?と、思ったら川で釣りをしてるのが知り合いでその人と世間話中でした。
うーん・・・さすがここは田舎だ(^◇^;)
途中の「葛バス停」で一人だけ新しいお客さんが乗りました60歳くらい?の男性です。
乗り換えバス停の「敷津」について、しばらくすると名張駅行きのバスが救いの神
のようにやって来ました。
コレに乗れば帰れます!
ただの田舎道にしか見えない国道368号線を北上。ひたすら名張駅を目指します。
運転手さんは、話し好きのようで私ともう一人のお客さんに良く話しかけてきます。
地元のお話しが伺えるのは嫌いじゃないから、こういうのも結構楽しい。
道路沿いに見えるお家は、どれも大きくてりっぱです。
このあたりは昔、林業で栄えたらしい。
大きな比奈知(ひなち)ダム。
思いがけなく広々とした景色が見られました。
ダム建設のために、土地を持っていた方は、ほとんど役に立たない土地を言い値で買い取ってもらえたそうです。
ダムの為に、今じゃ全然使われない道も造られた。
地元の評判はあまり良くないようです。
そう言えば、以前知り合いに建設関係の会社で仕事していた人がいて聞いたことが
あるのですが、ダム建設は計画からできあがるまでに約20年かかるから勤めて2,3個のダムを
手がけると定年まで食いっぱぐれがない、のだそうです。
なるほど・・・ダム建設もいろいろな思惑が絡んで作られてるようです。
ようやく名張駅到着。
結局お客さんは私ともう一人の二人だけでした。
帰りは近鉄桜井駅から東京・新宿駅行きの夜行バスにのります。
バスの出発は10時35分。
時間をつぶすために数駅離れた大和八木駅で食事して、ネットカフェで時間をつぶすつもりでした。
(桜井駅周囲にはネットカフェがなかったのです)
大和八木駅を下車してからバスでご一緒したAさんと、夕飯をご一緒することになりました(^o^)
袖すり合うも多生の縁。
Aさんは京都にお住まい。仕事の関係で川崎に住んでいたこともあるとかで、関東
の事情にもくわいしい。
仕事でアメリカに行ったときはミュージカルの本場ブロードウェイでで「サンセットブルーバード」もご覧になったことがあるとか。
この日は室生寺から室生川を上り、宇野川の源流を越えて、済浄坊渓谷から「葛バス停」まできたのだそうです。
一人旅だったから人とお話しするのが楽しかったです。
Aさんと8時頃お別れしてからは、ネットカフェに行ってみました。
とりあえずここならフリードリンクで時間がつぶせるなと、思ったのですがコーヒーが
いつまでたっても品切れでコーヒー好きの私としてはとても不満でした。
「マンガ喫茶コミックバスター八木駅前店」さん、気をつけてね〜。
9時半頃お店を出て桜井駅へ。
夜行バスに乗って翌朝の6時には懐かしい新宿駅前に到着。
千葉県の自宅へ向かいました。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございます!(終)