2008年07月18日

ぴあフィルムフェスティバルの軌跡Vol.1 「家、回帰」「変形作品 第2番」「二度と目覚めぬ子守歌」

ぴあフィルムフェルティバルの軌跡 Vol.1


ぴあフィルムフェスティバルの軌跡Vol.1
「家、回帰」「変形作品 第2番」「二度と目覚めぬ子守歌」@東京国立近代美術館フィルムセンター

7月17日(木)に観に行っています。
今年で30回目を迎える自主映画のコンペティション「ぴあフィルムフェスティバル」
の過去の入賞作品を紹介する上映会です。

今回見たのは3本。

「家、回帰」 1985年(第8回)入選作。18分、8ミリ
監督:石井秀人

「去年、祖父が死んだ」というナレーションで始まる家族のドキュメンタリー。
祖父の遺影と、誰もいない病院の廊下の映像が二重になり作者の語りが延々
続く冒頭。長かった闘病生活を暗示させるようなシーンです。
作者の目は、まだ健在だが介護が必要な老いた祖母に向けられています。
作者の母が介助しながらの祖母の入浴シーン。背中の曲がり、しなびた身体が
痛々しい。
家族として避けられない、身内の老いや死を見つめた作品のようです。



「変形作品 第2番」 1985年(第8回)入選作。30分、8ミリ
監督:黒坂圭太

冒頭現れるのは暗い画面に細かい亀裂。まるでスクリーンそのものがひび割れた
ような錯覚を覚えます。
明滅を繰り返し画面も荒れ地の地面のような、壊れた壁のようなものが見える。
炎を吹いているバーナーのような轟音も聞こえ、まるでスクリーンそのものが激しく
加工されていくような感じです。
しかし、これが延々30分続くのですからスクリーンを見続けているのはかなり苦しい。
申し訳ないけれど、この作品の何かいいのか、何がおもしろいのが全く理解できませんでしたm(__)m



「二度と目覚めぬ子守歌」 1985年(第8回)入選作。27分、8ミリ アニメーション
監督:原田浩

今回の上映会で一番見たかったのはこの作品でした。
<あらすじ>
両親を亡くし祖母の元に引き取られた小学生の男の子「出っ歯」
クラスメートからは執拗にいじめられ、暴力すらうけているが助ける者はいない。
「出っ歯」が持っていた小さな花束も踏みにじられてしまう。
それは入院していた祖母にとどけようとしていたもので、祖母はその直後自殺してしまう。
「出っ歯」の怒りはついに爆発、いじめっ子達にナイフを持って復讐してしまう。


冒頭、映画館での上映前のようなアナウンスが流れて、その遊び心がおもしろい。
しかしその後はすごい。
いじめられっ子の「出っ歯」、おせいじにもかわいくない。
いじめられ続けたせいか子どもとは思えない醜い顔、大きな出っ歯。
薄汚れて、ごみごみしてまるでゴミ箱のような街。
開発の名のもとに破壊される町、轟音と共に飛び立つ巨大な飛行機、耳をふさぐ人々。

一人の「出っ歯」に三人の男の子が暴力をふるう。
もちろん反撃する「出っ歯」ですがチビの彼には力がない。
「出っ歯」が、倒れたところを助け起こしてくれた高校生(?)のお姉さんを性的に襲って
しまう妄想場面まであって恐ろしいくらい怖い。
「出っ歯」がナイフを持って三人に反撃する場面もリアルに、執拗に描きこまれて
当然血しぶきがあがる。スクリーンから「怨念」が吹き出してくる感じです。

ラストは「出っ歯」の顔が、フィルムを逆回しするように白い紙の上のスケッチに
戻るところを見せて終わります。
ようやく悪夢の世界から脱出できた事を実感させるラストシーンでした。


「いじめ」をテーマにしているけれど、映像のなかに込められたエネルギーが半端じゃ
ないです。
しかも内容が内容なのでTVではとても放送できない作品でしょう。
この作品、外国でも紹介されているようです

チラシの解説によると、作者の原田さんはアニメーターとして活躍後、フリーになっているそうです。


<2008-07-20追記>
原田さんこの作品の後、1992年に丸尾末広作「少女椿」をアニメ化しています。
これは観ていませんが、かなりの問題作らしくDVD化もされていません。

さらにこれも知らなかったのですが2006年にTV放送されたアニメの「妖怪人間ベム」の監督もされていました。
私が知ってる「妖怪人間ベム」は1960年代に作られたTVアニメの方。
約40年ぶりにアニメ化されていたとは知りませんでした。
posted by みどり at 11:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「下西進展  I am,I am」

「下西進展  I am,I am」


「下西進展  I am,I am」@京橋 INAXギャラリー2
7月1日〜7月29日まで

7月17日(木)に観てきました。
この方は初めて知りました。何も知らずに入ったギャラリーでの展覧会でしたが
おもしろかったです。
写真や映像という手段で、自分と他者を撮り続けている方のようです。
風船につけたムービーカメラから撮ったらしい、地上の様子。
棒の上に取り付けたカメラでとった、上を見上げている自分と回りをあるく周囲の
人々の写真。

なかでも「I am on the air」は圧巻。
モニターが二つならべられていますが、右側はいろいろなTVの街角を紹介した
生番組にカメラをもった中西さんが写ってしまうというもの。

生中継やってると、後ろでVサインしてるヤツとあまり変わらない悪ふざけっぽい所も
ありますが、いつまでもその場にいるわけではなく、サッと来てTVカメラに自分が
カメラをかまえているところを見せて、すぐ去ってしまう。
彼のパフォーマンスがテレビで各家庭に本当に流れてしまうというもの。
下西さんが、街角で撮影してからすぐにホテルに戻って、番組が放送される時間に
TV画面を撮影したんだとか。
左のモニターでは、そんな撮影現場をとった自分の映像が同時に映っています。

地方のTV局の似たような夕方の番組に着目し、生放送のように見えて、実はそうではない
ことを知った下西さんのアイデア勝ち?
観ていると、いくつもの番組をつなげたものだとわかったので、TV番組に下西さんが現れると、
思わず笑ってしまいました。

これを作品といっていいのかどうか微妙な感じですが、気になったアーティストさんです。
posted by みどり at 10:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術・展覧会・イベント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする