映画「タクシデルミア ある剥製師の遺言」@渋谷 イメージフォーラム
監督:パールフィ・ジョルジュ 原作:パルティ・ナジ・ラショ
出演:チャバ・チェネ、ゲルゲイ・トローチャーニ、マルク・ビショシェフ、他
ハンガリー・オーストリア・フランス合作(ハンガリー語)
2004年サンダンス・NHK国際映像作家賞受賞
4月11日(金)に観に行っています。
祖父・父・息子の親子三代の数奇で、奇妙な人生を描いたダーク・ファンタジー。
思っていた以上に、エグイ映像満載なので普通の映画ファンの方は、観に行かない方が無難なようです。
私はいつも冒頭にはチラシを画像を載せるのですが、さすがに今回はイヤなので
パンフレットの画像にしました。
チラシ画像は一番下にのせてあります。
「タクシデルミア」は「剥製術」という意味があるそうです。
<あらすじ>
第1部は第2次大戦中の祖父(チャバ・チャネ)の物語。
愚鈍な兵士の祖父は中尉の家で下男のようにこき使われている。
中尉の娘達の入浴をのぞき見、彼の妻に誘われて関係を持ってしまうがばれて
射殺されてしまう。
生まれた子カールマーンは中尉の家で育てられる。
第2部は成長したカールマーン(ゲルゲイ・トローチャーニ)の物語。
国内では大食いが正式なスポーツ競技となっていて、巨漢の彼は有名な大食いアスリートとなっていた。
大食いがオリンピック競技になっていないことを残念がる彼。
女性大食いアスリートのギゼラと結婚。二人には小さな息子ラショがうまれる。
第3部は成長したラショの物語。
剥製師となった彼は、真面目で寡黙。スーパーのレジ係の女性に思いを寄せるがデートに誘ってもふられてしまう。
父のカールマーンは自分で身動きできないほどの肥満体になって、母も愛想をつか
して家をでていた。
そしてある日、事件が起きラショはある計画を実行します。
とにかく挑発的な映画です。
サンダンス・NHK国際映像作家賞受賞した作品はNHKで放送されるのが常なのにこの作品は
見送られた理由がよく分かりました。この内容ではTV放送は無理です。
祖父の物語はかなり悲惨です。
中尉に罵倒され、こき使われ豚小屋とつながる小屋で寝起きする日々。
その場の風景も空気も薄汚れた感じのする映像。
そしてあからさまに映し出される性器にはびっくりしました。
たとえばお風呂に入ろうとしてチラッと見えるならともかく、彼が猥褻なことを妄想してる
場面でみせられるのですから。
私はポルノ映画を観に来てしまったのか!?と思ってしまいました。
過剰な妄想におぼれゴミのように生き、ゴミのように死んでしまった祖父。
性欲という人間の欲望が拡大、誇張して描かれた物語だったようです。
そして大食いアスリートの父。
人間の欲望の中でもっとも基本的な食欲をあつかった物語。
大食い競技の為、訓練する日々。競技が終われば食べた物を吐きまくる。
これも過剰すぎる映像です。私はなるべくスクリーンを見ないようにしていました。
大食いアスリートとして限界を感じ挫折感をあじわう父。
そして現代での息子ラショの物語。両親とは似てもにつかぬやせっぽち。
身動きできない父の世話をし、剥製師の仕事をする彼。
親子三代の中では一番まともな人間です。しかし最後にはとんでもないことを考える。
人間の自己顕示欲を具現化した物語のようなきがしました。
マルク・ビショシェフ演じるラショはとても印象に残りました。
映画にうつる剥製の数々も、この映画のために作った独創的な作品らしいです。
親子三代の物語とはいっても、それぞれの物語にはほとんどつながりを感じません。
むしろバラバラな感じがします。バラバラだけど親子の物語。
一番まともに見えるラショには、祖父・父の人生が被っているというか続いている
と考えるとなんだかとてもシュールです。
ラストに触れるので詳しくは書けませんが、ラショが自らの身体を残そうとする為の
装置は機能美とでもいうのでしょうか、奇妙な美しさを感じました。
原作のある映画ですが、このラショの物語は原作にはないオリジナルだそうです。
おぞましくも、美しい映像の映画です。
最初から最後までスクリーンを見続けるには、かなりの勇気がいります。