2007年12月31日

映画「アイ・アム・レジェンド」

映画「アイ・アム・レジェンド」


映画「アイ・アム・レジェンド」@MOVIX亀有
監督:フランシス・ローレンス  原作:リチャード・マシスン
出演:ウィル・スミス

12月22日(土)に観に行っています。この日はこの映画館でのポイントがたまって
いたので無料で楽しんできました。

原作はすでに過去2回映画化されているそうです。
過去の映画は観たことがありません。

原作の方も全く知らなかったのですが、映画を見終わってからこの原作者の他の作品「縮みゆく男」は、
読んだことがあることに気がつきました。
あるきっかけでドンドンからだが小さくなってゆくというSFものでした。
スピルバーグが監督した「激突!」もこの方の著作とは気がつきませんでした。
しかも私が昔好きだったTVドラマ「事件記者コルチャック」もこの方の執筆だったとは
(原作なのか、脚本なのかはよくわかりませんが)ちょっと驚きです。
「事件記者コルチャック」は、怪奇事件を追いかける三流新聞社の事件記者コルチャックの活躍を描いたもの。
「Xファイル」の原典とも言われる作品です。
コルチャックの声の吹き替えは大塚周雄さんがやっていて、これがまたよかったです。

<あらすじ>
2012年のニューヨーク。
ガンの特効薬として使用された治療法は思いがけない副作用をおこし、その災いは
全世界をおおいつくし、全人類が死滅したらしい。
大混乱の中、妻子を亡くしたロバート・ネビル(ウィル・スミス)は愛犬のサムと、もう
3年もたった一人で暮らしていた。
3年間無線でメッセージを流しているが応答はない。
孤独な生活、しかし夜は街中にゾンビのような者が徘徊するらしい。夜間は外出禁止。
そんな生活の中、突然一組の母子がロバートの目の前に現れる。
彼女が言うには、別の地に生き残っている人々がいるはずだからそこへ行こうというのだ。
何の理由もなく、そう思いこんでいる彼女の言葉を信じられるはずもないロバート。
そんな時、安全だったはずのロバートの家をゾンビ達が探し当て、襲いかかって
くるのでしたが・・・。


何よりも、ロバートとサムの一人と一匹の淡々とした生活の様子がいいです。
特に悲しみにうちひしがれている訳でもなく、それでも毎日昼には誰かがメッセージを
聞きつけて姿を見せてくれるのではと、メッセージで「待っている」と言っていた港に
やってくる。
食料は、スーパーの保存食や自分で畑を作ったり、鹿を狩ったりすることでまかなっ
ているようです。
そんな生活の合間に、こんな事態になった三年前に出来事が差し込まれるように
描かれ説明がされています。とてもわかりやすいです。
後半、母子が現れてからは話の展開がもたついていたような気がします。
他に生き残りがいると信じている母親の「神の声をきいたの」というセリフには
ちょっとしらけてしまいました。
それまでのロバートの生活を考えると、あまりにも簡単すぎる理由ですから。

犬のサムは、かつてロバートの幼い娘が可愛がっていた小犬。
ロバートにとっては妻子の形見のような存在なのかも知れません。
そんなサムがゾンビに襲われ、ロバートとの別れの時が来てしまうのは哀しいです。
ところで映画の中では始終ロバートがサムと呼んでいるので、てっきり男の子だと
思っていたのですが、後の方で本名がサマンサとわかりこの犬はなんと女の子でした。
それが分かると、人と犬との違いがあるものの男と女が一緒に力を合わせて生きていたわけで
なかなか味わい深いものがあるな、と思いました。


SFとしては古典の映画化とは思えないくらいおもしろかったです。
とびきりおもしろかった、という訳ではないのですが家族で普通に楽しめる映画だと
おもいました。

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大駱駝艦・天賦典式 創立35周年公演「カミノコクウ」

大駱駝艦・天賦典式 創立35周年公演「カミノコクウ」

大駱駝艦・天賦典式 創立35周年公演「カミノコクウ」@世田谷パブリックシアター
振鋳・演出:麿赤兒
出演:麿赤兒、村松卓矢、向井雲太郎、八重樫玲子、兼澤英子、小林裕子、他

12月21日(金)に1階席で観ています。
一週間前に大駱駝艦の「カミノベンキ」を観ていますが、今回は創立35周年記念公
演の第2弾です。

正直言って、何を観たのかよく分かりませんでした(^_^;

舞台には大きな3個のオブジェ。前回の「カミノベンキ」と似ていますが、少し違う
ようです。同じ物を置いている向きを変えているだけなのかも知れません。

冒頭、男性舞踏手達がゆっくりランダムに歩き回っている。
そこに麿赤兒扮する山姥の様な物の怪?が一人ずつ捕まえては、食らいつくかのよ
うな仕草をする。まるで生気を吸い取っているかのようです。
山姥が捕まえていくごとに男性舞踏手の歩き方もだんだん早くなってきます。

冒頭のこのシーンはとてもおもしろかったです。
その後のシーンは、なんだか分からない。
気になるのは3個のオブジェ。中央が赤く照明され、なんだか女性性器を連想するのです。

その後はなんだか分からなくて、前回のようにまたもやちょっと意識が遠のいて
しまいましたm(__)m


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2007年12月30日

NYLON100℃ 31 ST SESSION 「我が闇」

NYLON100℃ 31 ST SESSION 「我が闇」


NYLON100℃ 31 ST SESSION 「我が闇」@下北沢 本多劇場
作・演出:ケラリーノ・サンドロビッチ
出演:犬山イヌコ、峯村リエ、坂井真紀、他

12月20日(木)に観に行っています。

<あらすじ>
31年前、田舎に引っ越してきた柏木一家。
作家の柏木伸彦(廣川三憲)を父に持つ三姉妹、立子(犬山イヌコ)、艶子(峯村リエ)、
類子(坂井真紀)。そして母・基子(松永玲子)と書生の三好(三宅弘城)。
立子は10歳にして作家デビュー。
精神不安定な基子は、ある日自殺してしまう。

そして2007年。
類子は女優になり柏木家を飛び出していた。
伸彦のドキュメンタリー映画の製作のため、柏木家にやってくる二人の男。
立子に思いを寄せるが、それを伝えられない内気な編集者の皆藤(長谷川朝晴)、
そんな兄を心配する妹(皆戸麻衣)。
艶子はすでに結婚していたが今は、夫(みのすけ)と共に柏木家に同居中。
夫との仲はどうもおかしいようだ。
伸彦は作家として娘、立子の才能に嫉妬している。
そんな頃、テレビのレギュラー番組をすっぽかして行方不明になっていた類子が
ひょっこりやってくる・・・。



ケラさんの作・演出の舞台というとついこの前「犯さん哉」がありましたが、こちらは
徹底的にオバカに徹した舞台で、お客さんの反応も賛否両論だったようです。
今回は文学作品と言ってもいいくらいの舞台になっていました。
三姉妹のそれぞれの人生と、思惑が交差する。わりとたんたんと物語は進行する
のですが、眠くなることもなくおもしろかったです。

観てからすでに10日立ってしまいまいたが、印象に乗るのは皆藤を演じた長谷川
さんと、妹を演じた皆戸さん。
内気というより煮え切らない感じの皆藤、兄を心配しつつやはり兄と同じで自己表現
が下手らしい妹がなんだか良かったです。
舞台のほぼ中央に柏木家の階段があるのですが、この階段の柵から顔を出して兄を
みてる妹はまるで子猫のようでした(^_^;

作家柏木伸彦に惚れ込んで、柏木家に居着いてしまう三好。
自分の作品を描くわけでもなく、単にお手伝いさんになってしまってるのですが、伸彦
や三姉妹の様子を心配しつつ、静かに見守っている様子がいいです。

映画製作の会社の大鍋(大倉孝二)は、いつも彼女からの電話を心待ちにしている。
いつもながらの大倉さんのひょうひょうとした雰囲気がおもしろい。

立子を演じた犬山さん、こういうシリアスな役どころは今まであまりなかったような気がします。
もともと私は、他の公演でこの方が演じるお馬鹿な役まわりはあまり好きで
なかったので、こういう役もしっかり見せてくれるんだなと再認識しました。

柏木姉妹の母と、プロデューサー(?)を演じた松永さん、どちらも役もちょっと
キレているような部分のある人物で、観ていてとても不快な人物なのです。
そういう風に思わせると言うことは演技がうまいんでしょうね。



粗野な夫とうまくいってないが、思ったことを上手く伝えられない類子を演じた峯村さん、
そして素行の悪そうな夫を演じたみのすけさんなど今回の公演、どの出演者も
それぞれいい味が出ていてとても良かったと思いました。

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2007年12月29日

鳥肌実 奉納演説「皇紀二六六七年 全国時局講演会」

鳥肌実

鳥肌実 奉納演説「皇紀二六六七年 全国時局講演会」@横浜 関内ホール

12月18日(火)に観に行っています。
一人で演説をする、というスタイルで公演を続けている鳥肌実(とりはだみのる)さん。
最近はテレビドラマや、映画にも出演するようになっている方です。

内容はというと例えて言うなら、第2次大戦中、大日本帝国が世界で一番!天皇陛
下万歳!と演説しまくっているような陸軍大尉のような感じ。

髪をきっちり分けて、サングラス。ワイシャツ、ネクタイ、白手袋、紺のスーツでピシッと決めて
でもそのスーツには白い糸で「皇居に向かって敬礼」「欲しがりません勝つまでは」
などど大きく刺繍されています。
毎回このスタイルのようです。

数年前日比谷公会堂での公演を観に行ったことがあるのですが、この時は心底
あきれました。
しゃべっていることがしどろもどろ。先になかなかすすまない。
明らかに練習をしてない、ネタを用意していないというのが見え見えだったのです。
この時はチケットを、鳥肌さん公式サイトから予約したら赤い封筒に「召集令状在中」
(まるで戦時中の赤紙を連想)と印刷された物が届いて、自分のスタイルを貫いている様子に
感心しつつ公演を楽しみにしていたのですが、みごと裏切られました。
この公演は演劇感想を書き込む某サイトでも、さんざんたたかれていました。

この方が本来どういう公演をしているのが知りたくて、数年ぶりに今回行ってみること
にしました。
チケットは東京九段会館での公演は、早々に売り切れになっていたので仕方なく
まだ空席のあった横浜公演のチケットを入手。

今回の公演は冒頭、中国、韓国、アメリカ、ヨーロッパを大陸間弾道弾で攻撃する
CGアニメから幕を開けました。
のっけからとてもテレビでは放送できない内容です。
鳥肌さん登場して、あとは一人演説・・・というより感覚的には一人漫談で約2時間
近くしゃべりまくり。
地方公演のこと、東南アジアに旅行に行ったこと、最近の時事問題、CS放送を一局
買い取ったらチャンネルの名前はトリジャジーラとして、一日の放送内容こうしたいと紹介したり
(朝の「おはよう靖国神社」とか)、朝鮮人や創価学会を攻撃したり、と
あっち行ったりこっち行ったりとりとめもなく延々しゃべり続ける。
当然のように放送禁止用語がぽんぽん。
しかし、その内容はコレと言った思想も信念も感じられない。

完全に切れまくり、狂信的にしゃべりまくるのかと思っていたらそうでもない。
かなり軽いノリです。
こういうスタイルで公演をしているのを雑誌に紹介されたら、迷惑メールが山ほど来て
通常業務ができなくて困った話も紹介。
「こんなのしらふでやってるわけ無いでしょう、ネタですよー!」と言ってしまうあたり
完全に素に戻って「役」になりきっていない部分もありました。
公演の後半は、チープな感じで鳥肌さんのカラオケと、映像。
映像はバイクで夜中の街を走ったり、街の中で演説していたり、ふんどしスタイルで
日本刀の素振り(^_^;
しょうもないことやって・・・と私はあまり感心しなかったのですが、場内かなりうけていました。
「あの映像、ビデオあったらほしい」なんて言ってる女の子もいたくらいです。

このスタイルの公演を10年くらい続けているので、そろそろネタ切れなのか?という
感じもしました。
今後この方がどういうスタイルを公演をしていくのか、続けるのか、変えるのか、
いずれにしても興味はあります。

すっとぼけた様子がおもしろいのでこちらのポスターもご紹介しておきます。

鳥肌実2
posted by みどり at 07:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇・ダンス・芸能 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月28日

「アンカー展」

アンカー展


「アンカー展 故郷スイスの村のぬくもり」@Bunkamura ザ・ミュージアム
12月1日〜1月20日まで
展覧会公式サイトはこちら



12月18日(火) 職場は有給休暇をとっていたのでこの展覧会を観てきました。
アルベール・アンカー(1831-1910)、今回はじめて知った画家です。
スイスの中央部のインス村(ドイツ語名/フランス語ではアネ)出身の、
19世紀のスイスで大変な人気を博した方だそうです。

精緻な筆致で描かれているのは村で暮らす人々や、静物画。
人々の多くは、子ども達や子ども&老人という組み合わせで、特に子ども達はどの子
もとても愛らしく、絵の前に立つと思わず顔がほころんでしまいます。
展示内容も充実していて、とても見応えのある展覧会だと思いました。

会場は7つのパートに別れています。
「故郷の村」
「静物」
「よく遊び、よく学べ」
「アンカーの愛した風」
「教育と学習」
「肖像」
「アンカーとファイアンス陶器」

それぞれについて感想を書き留めておこうと思います。

<故郷の村>
スイスの村の素朴な人々の様子が、特に子ども達や老人を描くことで表現されています。
「編み物かごを持つ少女」水彩画
肌や髪にていねいに色を置いているのがよく分かります。

「少女と2匹の猫」油彩
チラシにも使われている作品です。
子猫を見る少女のまなざしの優しさも愛らしいですが、少女に抱かれた子猫たちの
身体の柔らかさ、暖かさ、ミャーミャーいう鳴き声まで聞こえてきそうな作品です。

上記の作品の隣に展示されているのが「猫を膝に抱く少女」
猫作品が隣同士になっているのが、なかなか興味深い展示の仕方がされていました。

「小さなパパ」木炭、インク、淡彩
ほぼモノクロで描かれている感じの作品。
小さな妹の面倒を見る、小さな男の子の表情がかわいいです。
絵を観ながら、年下の子の面倒を見ることで人は思いやりの心がはぐくまれるのでは
ないのか、と思いました。最近は嫌な事件が多いですから・・・。

「新聞を読むおじいさん」油彩
文字通りむずかしい顔をして新聞を読んでいるおじいさん。
でもおじいさんを見ているまなざしが優しい。
この絵を見るとアメリカの画家、ノーマン・ロックウェルを思い出しました。

「水浴する人々」油彩
河で水浴する女性達。
サロン出品の為に描かれた作品だそうで、他の村の人々を描いたものとは違い
どこかギリシャ神話の世界のような雰囲気のする作品です。

<静物>
4枚ある静物画はどれも写実的。
その中でも特に「静物 お茶の時間」(油彩)に目がいきます。
白いテーブルクロスの上の左にフラスコのようなガラスの容器に入った琥珀色の液体。
中央にガラスの容器に盛られた白い固まり。お菓子でしょうか。
右側に黒い容器。手前にカップやグラスが描かれ、バックはくすんだ茶色のような色。
見ていると妙に開放感があって、スッとします。

<よく遊び、よく学べ>
主に遊んでいる子ども達が描かれています。
「託児所」油彩
子ども達はみんな積み木遊びに夢中。でも画面中央の他の子ども達の影になるよう顔の
一部だけ見える一人の少年だけが、キッとこちらを見ているその視線が印象的。

<アンカーの風景>
「サンタポリナーレ・イン・クラッセ聖堂、ラヴェンナ」水彩
聖堂の並ぶ柱から漏れる光の表現がとても繊細です。

<教育と学習>
宿題をしている子どもや、学校へ行こうとしている子ども達が描かれています。
「宿題をする子供」「書き取りをする少女」(共に油彩)
2作品とも、子ども達の傍らに描かれている紫色の花が気になりました。
ライラックでしょうか?

<肖像>
ヨーロッパでは印象画が登場してきた頃なので、アンカー自身写実的に描くことに
やや迷いがあったらしいです。
展示されている肖像画はどれも写実的。
「髪を編む少女」油彩
バックの黒の中に浮かび上がるような少女の金髪がやわらかそうです。

<アンカーとファイアンス陶器>
アンカーは陶器の絵のデザインもしたそうです。
デザインの下絵や、実際の陶器の展示。
水彩、油彩とはまた違った幅広い活躍をしたアンカーの一面を見た気がします。
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2007年12月27日

「ハリー・ポッターと謎のプリンス」到着!

「ハリー・ポッターと謎のプリンス」




今年の夏に映画「ハリー・ポッター」シリーズの第5作目「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」
が公開されましたが、映画館で観てからすぐ職場近くの図書館で6作目の原作小説の
予約をしておきました。
もちろん5作目まではすでに読んでいます。

待つこと約4ヶ月、ようやく私のところに上下巻2冊回ってきました。
借りられるのは2週間なので、正月休みに当たってちょうどよかったです。
楽しみ、楽しみ(^^)

原書の第7作目最終巻はすでに発売されていて、日本語訳は来年7月にでるそうでこちらも
楽しみですね。
posted by みどり at 12:25| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

児玉希望展

児玉希望展
児玉希望展@泉屋博古館(せんおくはくこかん)分館
10月27日〜12月9日(終了しています)

12月8日(土)に観に行っています。
東京メトロ南北線、六本木1丁目駅すぐそばの泉屋博古館は今回初めて行ってみました。
以前この場所を歩いてみたときは、これから建物ができる前のことで更地になってい
たのが印象に残っています。美術館ができてたとは知りませんでした。
泉屋博古館は本館が京都にあるそうです。

日本画家の児玉希望さん(明治31年生)、今回初めて知った方です。
東京でまとまった展覧会は今回が初めてのようです。
展示されている作品は日本画だけでなく、油絵も多数。写実的な絵もあれば、どう
みても抽象画風の物もあり、枠にとらわれることなく幅広く作品を描いていた方の
ようでした。

以下、気になった作品について書き留めておきます。

「晩春」絹本彩色
川の流れの手前に山桜の花、藤の花、画面のほぼ中央にはツツジの花が描かれています。
風がかなり強いようで、花たちは風にあおられ桜の花びらが舞っています。
全体はややセピアで統一された感じがありますが、そのなかで山桜の葉のオレンジ
色とピンクのツツジの花に目が惹かれます。
今回私はこの作品が一番気に入りました。

「群貝」絹本彩色
浜辺にこれでもか、と言う感じで散らばっている様々な色と形の貝がいっぱい。
実際にはあり得ない光景ですが、おもちゃ箱をひっくり返したような楽しさがあって
どんな貝があるのかな、と一つ一つ見入ってしまいます。

「飛泉淙々(ひせんそうそう)」絹本彩色
冒頭の画像、今回の展覧会のチラシにも使われている作品。
滝の流れが生き生きしていて、本当にそこに流れているような感じです。
観ていてとても気持ちのいい流れです。

「七面鳥」紙本金泥墨画
これは観るとちょっとギョッとしました。
墨で真っ黒に塗った画面に、金泥だけで一羽の雄と二羽の雌の七面鳥が描かれて
います。
金泥なので豪華な感じもあるのですが、即興で描いたような筆致の荒さがあり
私は観ていてあまり気持ちのいい作品ではありませんでした。

「仏蘭西山水絵巻(河)」絹本墨画淡彩
観ていた時は紙に描かれているとばかり思っていましたが、今この文を書くために
展示作品リストを見直してはじめて絹に書かれていたと気がつきました。
横長の巻物スタイルの作品だったので、紙と思いこんでいました。
川の流れに沿って、周囲の風景が描かれています。
ほとんど墨の濃淡のみで描かれた作品。
川の流れは最後に海か湖か分かりませんが広い空間にでるこの作品は、横山大観
の「生々流転」を思い出せます。
最後の最後に淡い色彩で小さな虹が描かれているのが、ちょっと遊び心を感じさせます。

絹本墨画の数点の数点の抽象画もおもしろい。
他の作品が写実的に描かれた物ばかりなので、こういう作品も描くのかというかんじです。
いくつもの円形の物体があったり、だたのシミの様にも見えなにが描かれたのか分かりませんが、本人は「具象画だ」と言っていたようです。
心の中に見えた風景を描き出したので、抽象じゃないということでしょうか。


冒頭の画像は、チラシを持っていないので美術館の入り口に展示されていたポスターを撮影したものを載せてみました。



posted by みどり at 07:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術・展覧会・イベント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月26日

演劇集団キャラメルボックス公演「トリツカレ男」

演劇集団キャラメルボックス公演「トリツカレ男」


演劇集団キャラメルボックス公演「トリツカレ男」@池袋 サンシャイン劇場
原作:いしいしんじ「トリツカレ男」
脚本・演出:成井豊
出演:畑中智行、岡田達也、岡内美喜子、渡邊安理、坂口理恵、西川浩幸、他
11月29日〜12月25日

12月7日(金)に観に行っています。
いつもは成井豊さんの作、で公演を行っているキャラメルボックスですが今回は
外部の作家の小説の舞台化です。
いいしんじさん、はじめて知った作家さんでした。

<あらすじ>
ジュゼッペ(畑中智行)は周囲からは「トリツカレ男」と呼ばれるちょっと変わった青年。
何かを好きになるとそれ一筋、寝食忘れ夢中になってしまうからだ。
しかもその熱の入れ方は半端じゃない、外国語は15カ国語も習得してしまうし
三段跳びでは世界記録を樹立。そんな彼だが、次のことにとりつかれるとそれまで
夢中になっていたことをあっさり止めてしまう。
そんな彼が、ある日公演で風船を売っている外国の少女・ペチカ(岡内美喜子)に一目惚れ。
彼女の絵顔を見ても、なにかくすみを感じるジュゼッペ。
言葉の話せるネズミのトト(岡田達也)に頼んで、ペチカの様子を見てきてもらうが
じつは彼女には故郷に婚約者のタタン(西川浩幸)がいて、彼からの便りが来ないのを心配していたのだ。
ジュゼッペが調べると、実はすでにタタンは事故で死亡していた。
ペチカを喜ばせたい一心でタタンに変装して会いに行くジュゼッペですが・・・。



観劇時は原作を読んでいませんでしたが、それでもおそらく短編が元になっている
だろうとはさっしがつきました。
事実原作は文庫本で160ページほどの短編で、観劇後購入して今日までに読んでしまいました。
原作とも比較して簡単に感想を書き留めておこうと思います。

どことは特定されていませんが登場人物の名前からイタリアを連想させる舞台設定です。
話の展開も童話的。見終わった後も心優しい雰囲気があります。

タタンは教師で、ある日子ども達と乗っていたロープーウェイが事故で空中でストップ。
ロープは老朽化していて、今にも切れそう。救助隊はなかなか来ない。
大柄のタタンは子ども達を助けるため、自分は車両から身を投げてしまいます。
少しでも車体の重量を軽くしようと・・・。
この話、昔どこかで聞いたことあるような気がします。実際の事件を元にしたお話
のようですね。
子ども達を安心させようと優しく語りかけ目をつぶらせ、自分は静かにドアを開け
優しい笑顔を見せてから、四角く白い空間に消えるタタン。
哀しくも美しい場面です。
私は思わず涙してしまいました。

ジュゼッペとネズミのトトの関係は完全に童話的です。
舞台を観てると、つねにトトに頼んでペチカの様子をさぐってもらうジュゼッペがかなり
頼りなく他人任せのお調子者に感じられます。
原作を読むとそんな感じはほとんどありませんでした。
これはやはりジュゼッペを演じている畑中さんの演技と、演出のせいでしょう。

ペチカを演じる岡内さん、真面目で純真な感じがするところがいいですね。

舞台化するに当たって、劇団員に役を振るためでしょうが原作にない登場人物が
かなり増えていました。
原作にないのはジュゼッペが務めているカフェのオーナー、新聞記者2名、トトの姉と妹など。
やはり原作にない人物は舞台を観ていても、余計な感じがしました。
会話がややうっとうしいのです。
しょっちゅう仕事を休むジュゼッペを大目に見るオーナーは不自然です。
三段跳びで世界記録を出せそうだと、ジュゼッペのことを記事にしようとする記者は
自分が記者として名をあげたいだけに見えます。
ジュゼッペの姉を演じるのはこの劇団でもおそらく実力ナンバーワンの坂口理恵さん。
彼を励ます役回りになりのでこちらは、しっくり来てるきがしました。


原作をほぼ忠実に舞台化していますが、まったく違うのはタタンとペチカの関係。
舞台化では婚約者としていますが、原作では単に教師と生徒の関係です。
ペチカのタタンへの思いをわかりやすく表現するためにそうしたのだとおもいますが
わざわざそうしなくても、よかったのでは?と思いました。
大好きな先生をおもう生徒、これだけで十分だったと思います。

タタンに変装してペチカに会いに行くジュゼッペですが、原作ではいつも二人は窓ガラ
ス越しに会っているのでペチカが相手をタタンと思いこむ様子もわりと自然です。
舞台化では、窓越しとはいっても間にガラスがないのでこれで相手を見間違えるのは
かなり無理があります。
タタンを思うあまり・・・と説明がされてますが。

いずれにしてもこの「トリツカレ男」、最近の成井豊さんには書けない世界だなと思いました。
昔は童話風の優しい世界を描いていた成井さんですが、最近は幕末の頃を舞台にし
た時代劇風の物や過去の再演が多く、新作は見ていても私には楽しく感じられません。
キャラメルボックスの公演は毎回かかさず観ていますが、観ておもしろいと感じるのは
外部作家の小説の舞台化ばかりになってしまいました。

全く関係ありませんが、文庫本のカバーにあった原作者いしいしんじさんの写真が
成井豊さんそっくりに見えました。


キャラメルボックス公演は来年も全公演見るつもりなので、トライアスロンパスを
申し込みしました。
(購入締め切りはすでに過ぎています)
1年分の料金を前払い、千秋楽の購入はできませんが、一般より優先的にいい席が予約できるので
毎年購入しています。

<追記 2008-01-20>
原作を見直しましたが、原作でもタタンとペチカは婚約者でした。m(__)m
舞台版の方は回想シーンでペチカがタタンに面と向かって「お嫁さんにしてください!」という場面があり、とても唐突で無理矢理な演出
に感じました。
原作にはそんな場面ないので、同じ婚約者という設定でも原作と舞台版はかなり
雰囲気が違うように感じました。
原作の方は二人の関係がごく自然に感じるのであまり違和感がありませんでした。
posted by みどり at 06:42| Comment(2) | TrackBack(0) | 演劇・ダンス・芸能 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月23日

映画「シアトリカル 唐十郎と劇団唐組の記録」

映画「シアトリカル」


映画「シアトリカル 唐十郎と劇団唐組の記録」@渋谷 イメージフォーラム
監督:大島新


12月17日(月)に観に行っています。
劇作家、俳優としても活躍している唐十郎(からじゅうろう)さんと彼の率いる劇団唐組。
その唐十郎さんと唐組のメンバーが、2007年の春公演「行商人ネモ」を上演するまで
の様子を追ったドキュメンタリー映画です。

監督の大島新さんは、やはり映画監督の大島渚さんの息子さん。
大島新さんは、ドキュメンタリー映画の演出を数多く手がけてきたそうで、今回はじめて劇場用映画の監督をしたそうです。

芝居バカ、としかいいようのないくらい芝居しか頭にない唐十郎さん。
いい芝居を作りたい!というその情熱ははた目にはやや狂気じみてみえます。
そんな唐さんが好き、唐組の芝居が好きで唐十郎に必死でついていく劇団員達の
姿も興味深いです。

公演初日の五ヶ月も前に台本ができあがっているのは驚きます。
劇作家は、芝居の稽古が始まっても台本ができあがっていないことが多いとよくききますから。
某劇作家は台本が遅れて、公演初日の幕が開かなかったという話も聞くくらいです。
某と書いたけど、名前を伏せることありませんね、井上ひさしさんや三谷幸喜さんです。

唐さんが書いた手書き台本を、ワープロではなく手書きで清書をする劇団員。
台本は俳優達に早々に渡されて、稽古もまだ始まってない頃の飲み会で唐さん
の前で自分の役の場面を披露する。これもびっくりですが、さらに驚くのは、こんな時
にさえだめ出しをする唐さんの姿。
もちろんアルコールが入ってるせいもあるんでしょうが、そこまでやるか!という感じです。
稽古初日には俳優達は、すっかりセリフがはいっています。
唐組の劇団員は全員俳優であり、小道具や舞台セットも自分たちでつくる。
テント芝居とはいえ、舞台セットにかける予算が春・秋公演分合わせて15万円とは・・・。
舞台監督も務める鳥山昌克さんいわく、常に解体現場を注意して見ていて、芝居で
使えそうな物はもらってくるんだとか。
それぞれ、自分の将来に多少不安や迷いを持ちつつも唐さんの要求に応える俳優さん達、やはりすごいです。

私が観に行った日は、上映前に劇団の若手メンバーによる挨拶がありました。
じつはこの日見る前、前の週に一度観に行こうとしたのですが、満席で立ち見に
なるというので帰ってきています。
事前に気がつかなかったのですが、この日は劇団の看板役者稲荷卓央さんの挨拶
があったからだったようです。
稲荷さんは好きな俳優さんですが、さすがに仕事帰りに映画の立ち見は勘弁してでした。

ドキュメンタリー映画とは言っても、一部虚構の場面が混じっています。
これから見る方のために、ここで書くことはさけますが、何も知らないで見ていると
虚構(芝居)場面と気がつかないと思います。
気をつけてみていれば、言ってることがちょっと芝居くさいぞ・・・とう事で気がつかれるかもしれません。
パンフレットには、どこが虚構か紹介されています。
虚実含めてそこは唐十郎と劇団唐組ということですね。

劇団唐組の公演を観ていなくても十分楽しめる映画ですが、今年上演された「行商人ネモ」
を観ていればその舞台裏をのぞくことになるので、二倍、三倍と楽しめること
間違い無しのドキュメンタリーだとおもいました。




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花組芝居公演「KANADEHON 忠臣蔵」

花組芝居公演「KANADEHON 忠臣蔵」


花組芝居公演「KANADEHON 忠臣蔵」@世田谷パブリックシアター
脚本:石井耕士  演出:加納幸和
出演:加納幸和、原川浩明、小林大介、他


12月6日(木)に観に行っています。
私は忠臣蔵ものが大好きです。
テレビドラマ版はあまり観てないのですが、映画は過去何本も作られているのでわりと観ています。

人形浄瑠璃の「仮名手本忠臣蔵」をベースに、人形浄瑠璃なら昼夜公演で1日がかりで
上演する物を約2時間半で上演しようという試みです。
見せる場面は見せ、そうでないところは切り捨てはしないけれどごく簡単に見せる
というやり方をしていました。
私もこの話、通しでは観たことはありません。
(人形浄瑠璃を元に歌舞伎バージョンが作られていますが、今回の花組芝居公演は
大元の人形浄瑠璃版をベースにしています)

とてもわかりやすく、楽しめる公演でした。
史実は江戸時代に起きた主君の仇討ちのため結集した赤穂浪士の物語。
当時は、史実を元にした芝居の上演は禁じられていたので、人形浄瑠璃版では南北朝時代に
時代を移し、登場人物達の名前も変え、事実にはないエピソードも加えてつくられたもの。

公演を観てからもう3週間たってしまいましたが、今でも印象的な場面をあげておきます。
ちょうど11月の歌舞伎座公演で「九段目山科閑居」を観たこともあり、ちょうど予習を
したような物だったのでこの場面はわかりやすかったです。
戸奈瀬(加納幸和)、
小波(堀越涼)の母娘が大星由良之介の別荘にやって来る「九段目山科閑居」。堀越さん演じる小波は可憐で美しいです。

足軽の勘平(各務立基)と女房のおかる(植本潤)。
おかるはコミカルな感じになっていました。
植本潤さんは以前は主役級の女形をやっていましたが、最近は女形でも脇役の
三枚目風の役回りがおおいようです。
植本さん演じる可憐な美女(たとえば「夜叉が池」の百合)が好きだったので、最近は
そういう役が観られないのがちょっと残念。

人形浄瑠璃でも歌舞伎でも滅多に上演されないという「十段目 天河屋(あまかわや)
義平の場」を見せてくれたのは珍しいし、うれしい。
堺の港にある天河屋の主人義平は、由良の介一行から武器の調達を頼まれ、秘密
を守るために妻と離婚までしてしまいます。
滅多に上演されなし
私も観たこと無かったのに「天河屋義平は男でござる」セリフは
今までもきいたことがありました。
上演されないのに、セリフは世間でよく知られているという珍しい段。


ちょうどNHK BSで先週と今週の日曜日(今日は午後からです)、今年2月の歌舞伎座での「
仮名手本忠臣蔵」の公演を放送してくれています。
チケットを取り損ねて、観に行ってないのでこちらもうれしいです。
posted by みどり at 11:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇・ダンス・芸能 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする