2006年08月20日

「若冲と江戸絵画」展&国宝「納涼図屏風」

「若冲と江戸絵画」展


「プライスコレクション 若冲と江戸絵画」展&国宝「納涼図屏風」@東京国立博物館
  7月4日〜8月27日まで(「納涼図屏風」は8月8日〜8月20日まで)


8月13日(日)に観に行っています。
アメリカの大金持ちプライスご夫妻の集めた日本画の展示です。
よくぞここまで集めたものだと、感心します。

観に行くのは、これが始めてではなくこの日が2回目です。
一回目は始まってからすぐの7月頭に行きました。この時はさほどでは無かった
のに、やはり会期後半に入った13日はかなり混んでいました。


伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)の名を初めて知ったのはほんの数年前のことで、
今回も展示されている鳥獣花木屏風を観たのが最初でした。
六曲一双の屏風です。

そうそう、この「六曲一双」という言葉の意味を正確に知ったのも恥ずかしながら
ごく最近のことでした。(以下、お節介な説明です)
六枚のパネル状の絵をつなぎ合わせ一つの屏風にしたのが「六曲屏風」。
パネル状のもの一枚を「一扇」といい、それらをつないだ屏風一つを「隻(せき)」、
これらをふたつ一組にした形式が「六曲一双」。
左右に並べ、向かって左にしつらえた物を「左隻(させき)」、右を「右隻(うせき)」
といい、六曲の場合各パネルは右から一扇、二扇・・・・・六扇と数えるのだそうです。


とても見応えのある展覧会であれこれ書くときりがないので、特に印象的だった作品
について感想を書いておきます。

「鳥獣花木図屏風」 伊藤若冲筆
江戸時代に書かれた絵なのに、とてもそんな時代の絵とは思えません。
とても現代的な感じがするのです。
絵は小さな四角い色つきブロックを貼り付けたような感じに見えます。
でもその小さな四角形は全て手書き。
描かれているのは巨大な象を中心にヒョウや駱駝などの日本にはいない動物たち。
象の足下には、小さなネズミやリスがいるのが描かれた世界が動物達のパラダイ
スであることを暗示しているようです。

他の若冲の作品を見ると、かなり細かい部分まで神経質なくらいに書き込まれている
のに比べると、この鳥獣花木図屏風に描かれた動物たちは抽象画といっても良い
くらい簡素な線と色で表現されています。
なぜ若冲はこんな不思議な絵をかいたのでしょう?
江戸時代の絵師は、今の画家と違って描きたいから好きな物を好きなように描く
ということはあまりないので、若冲が何を思ってこの絵を描いたのか、どこの誰の依頼
で描いたものなのかとても興味があります。


「美人に犬図」 山口素旬筆
夏の薄手の着物を着た美人図。下の襦袢の赤が透けて見えてます。
団扇を持って、襟元が乱れて、長いたもとがゆれている。
美人の足下で小さな子犬がじゃれついていて、美人が「あらあらかわいい子ね」と
言わんばかりの様子がとてもいいです。
じゃれつた子犬を、振りほどこうとした動きの一瞬をとらえた絵です。
今回の展覧会の中では、私はこの作品が一番気に入りました。


展示室の一室は、照明を落としていて、作品への光の当たり方を調節しながら
見せてくれていました。
江戸時代は今と違って、一方向からの照明で絵を見ることなど無かったのですから
これは、いわば当時の家の中で見るのと同じ条件で絵を見ることになりますね。
わかっていても、現代の屋内ではなかなかできない展示方法なので、これはとても
有意義な試みだと思いました。
光の当たり方で、絵の表情はずいぶん変わっていきます。
「佐野渡図屏風」(酒井抱一筆)は普通の展示室の照明でみたらさほど感銘を
受けなかったかも知れませんが、今回の調節されて変化していく照明の中では
絵の中でえがかれている雪が、ふわふわと空中に浮かんでいるように見えとてもいい
えに見えました。
雪がちらちらとするのは光のせいだけでなく、おそらく絵の具の濃淡も影響してるの
ではと思われます。

展覧会場外の平成館1階、企画展示室でもプライスコレクションの展示がありました。
絵師の名は忘れましたが、ふすま絵がガラスケースに入れられていました。
つまり、ふすまの裏表を観ることができるようになっています。
小さいので天袋のふすまでは、と思いますが表側は雀が飛んで平和に遊んでる図
と、思って反対側を観ると鷲だか鷹だかのどう猛そうな鳥が一羽描かれているのです。
雀は遊んでいるのではなくて、逃げていたようです。
本来なら誰も観るはずのないふすまの裏側にも絵を描いてしまうとは。
絵師の誰にも知られない、密かな楽しみだったのでしょうか。
自作への自信のほどが伝わってくるようでした。

展覧会場外でも、若冲の作品の展示があるので若冲ファンの方はお見逃しの
ないように。本館2階の常設展の中にありました。



本館2階では国宝「納涼図屏風」(久隅守景・くすみもりかげ)の展示もありました。
(こちらは展示期間が短くて8月8日から20日までの展示です。)
TVの美術番組ではよく見る屏風ですが実物を見たのは今回が初めてです。
粗末な家の軒先に作られた夕顔の棚。ほとんど墨だけで描かれた簡素な二曲屏風です。
むしろをしいて寝ころんでる父と小さな男の子。父の横には上半身裸の女性の図。
少し前まではこの女性は寝ころんでいる男の妻と、見られていたのですが最近に
なって彼女は男の娘ではないか?と言われるようになったようです。
展示作品の解説には、そのあたりのことは全くふれられてないのが残念でしたが
親子三人が夕涼みをしている平和な絵は、見ているこちらも田舎に行ってのどかな
感じになったような・・・お金はなくとも家族がいればそれが一番の幸せ、そういうこと
を教えてくれるような作品でした。



この日は、この後寄り道をしています。
博物館を出てから上野駅とは反方向へぶらぶらと。
谷中の猫グッズのお店「ねんねこ家」へ、久しぶりに行ってみました。

谷中 ねんねこ家

猫型の蚊取り線香置きや、特製猫の絵はがき、とか小さなグッズあり、中で喫茶も
できるようになっています。店内、店外にお店の飼い猫君もうろついています。
小さなお店で、木曜から日曜・祝日しか営業していないのですが猫好きの人になら
お勧めしたいかわいいお店です。





posted by みどり at 13:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術・展覧会・イベント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする