2006年08月19日

演劇集団キャラメルボックス公演「雨と夢のあとに」

演劇集団キャラメルボックス公演「雨と夢のあとに」


演劇集団キャラメルボックス公演「雨と夢のあとに」@サンシャイン劇場
 原作:柳美里(ゆうみり)作「雨と夢のあとに」 
 脚本・演出:成井豊+真柴あずき

8月11日(金)に観に行っています。
最近私はキャラメルボックスの芝居が苦手になってきています。
(キャラメルボックスの公演の感想書くときは、いつも同じ前置きをしいてると思います。
苦手なのに観ているのは、昔一時期でも私に「夢」を与えてくれた劇団だったので
この先どういう展開をしていくのか見届けたいと思うからです)

そして、さらに正直に言うと柳美里さんは「大」の苦手です。柳さんの作品も、ご本人も。
在日朝鮮人だからというわけではありません、もちろん。
小中学校時代はずいぶんひどいいじめにあったらしいですが、これももちろん関係
ありません。

柳さんの作品を読んだことはありませんが、柳さん作の演劇公演はなぜか二本も
観ていて、この印象がかなり悪いのです。
10数年前だったか、柳さんが主催していた劇団「青春五月党」の公演「ひまわりの棺」
と劇団MODE公演「魚の祭」の二本。

「ひまわりの棺」は在日朝鮮人で朝鮮学校に通っている女の子が主人公ですが、その
子が性的暴行を受けてどうのこうのと言う話でしたし、「魚の祭」は急死した青年と
彼に関係する人々が登場してくるにつれて、それぞれの人間関係が浮かび上がり、
青年自身もどういう人物だったのかわかってくる・・・という話でした。
二本とも話がつまらないというのではなく、内容が深刻すぎで観ていて胃のあたりが
きりきりするくらい後味が悪かったのです。
当時の柳さんは、「私の演劇はお葬式」と書いていた文をなにかで読んだ記憶もある
ので、後味が悪いのも当然と言えば当然なのでしょう。

前置きが長くなりました。
作も演出も苦手な人が手がけている今回の公演。いったいどうなることかと思い
ましたがなかなかというか、意外というか後味は悪くない物でした。


若くして事故で急死した父・朝晴(岡田達也)は、母もすでにいない一人娘の雨
(福田麻由子)ことが心配でしょうがない。
幽霊になって彼女のそばに現れ、大人になるまでそばにいてあげたい、と思いますが
幽霊の朝晴が雨に触ると彼女の「元気」を吸い取ってしまい雨が弱っていくことに
気がつきます。
そばにいてはいけないのか・・・・?
というお話です。

雨役の福田麻由子ちゃんは現役小学生。しかし、しっかりした演技を見せる子でした。
他の出演者は、ベテランメンバーが出ていないので誰に注目してみたらいいのかと
と迷ってしまいます。
もちろん朝晴が主人公と言えるので、彼に注目するのがスジなのでしょうが岡田さん
よりも、朝晴の父役の篠田剛さんの方が印象に残りました。
この方、加藤健一事務所公演「エキスポ」でも年配の男性役で出演していましたが
これがなかなかよかったのです。ロマンスグレーの老人役がなぜかにあう方です。

途中で登場する雨の母役の岡田さつきさんは、今回の出演者のなかではベテラン
メンバーなのに、自分の夢を実現するための夫と子供を捨てた母で、夢を実現した
今子供に会いたくなって現れた、という人物なのでなんだか感情移入できません。

出演者の中でとても目立つ方がいました。
朝晴の仕事仲間であった霧子役の楠見薫さん。でもこの方もゲスト。
楠見さんは、劇団遊気舎の女優さんとして観たことが何度もあります。
今は劇作家として活躍している後藤ひろひとさんや、モヒカンあたまの女優うべんさん
など、個性的な方が多かった遊気舎のなかではさほど目立つ人ではないのに、個性
の薄いキャラメルボックスの出演者の中では目立ちすぎて、なんだかかなり浮いて見
えました。

最近のキャラメルボックスは、成井さんの作ではなく既成の小説を舞台化したり、
ゲストばかりよんだり、演出を外部の方にお願いしたりで、劇団結成21年目に入り
なんだかこれからどう活動していったらいいのか、と迷ってもがいているように
見えます。

酷評ばかり書きましたが、舞台の後半で父と娘が観覧車の中で話をするシーンは
とてもきれいでした。
posted by みどり at 02:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇・ダンス・芸能 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする