2004年12月30日

劇団四季「キャッツ」@東京

劇団四季「キャッツ」@東京・キャッツシアター

12月30日(木)昼公演観てきました。
東京キャッツ2回目の観劇です。
前回は2階脇のジェリクル・ギャラリーという席でしたが、今回は一番安い2階C席。
しかも平日マチネ割引適用のため2100円という値段で観劇してきました。
当然ながらこの席からは舞台が遠いです。
前回のジェリクル・ギャラリーは舞台を真横か、斜め後ろから観るような感じなので
初心者向けではないものの、とても舞台に近く観やすい席だったと改めて思いました。

さまざまな人間模様ならぬ、猫模様を見せてくれる「キャッツ」。
歌の良さ、ダンスの良さ、楽しさ一杯の舞台で何度見ても飽きません。
劇場内のあちこちは猫の視点から見た大きさに拡大された、さまざまな「ゴミ」が
オブジェと化して張り付けられてます。上演される土地に合わせたゴミもあるとのこと。
前回行ったときには見つけられなかったので、今回は開演までの時間にじっくり探して
みることにしました。
見つけました!!1階に「浅草味っ子」、2階に「下町味っ子」を。
私は知らないお菓子なのですが、浅草名物の「おこし」のようでした。

今回はメインの舞台の脇にいる猫たちにも注目してみることにしました。
何度も観てる公演なのに、初めて気が付いたようなシーンもありました。
横になって眠ろうとしてる猫にちょっかい出して「なによじゃましないで」とばかりに
はたかれそうになってる猫。
いなくなった長老猫を無事探し出せて喜ぶマジック猫のミストフェリーズが
みんなと踊ってる最中にうれしそうにぴょんと長老猫に飛びついてるなんて
「あれ、こんなことしてたっけ?」と思いました。

私の一番のお気に入り猫はマジック猫のミストフェリーズですが、この猫を演じる人は
かなりのダンステクニックが要求されます。
今回演じたのは中国出身の蔡暁強(読みがわかりませんアルファベット表記は
Cai Xiaoqiang)さん。
他の役者さん達と比べるとずっと小柄ですが、すばらしいダンスをみせてくれ
今回の公演ではこの方の一挙一動に目が離せませんでした。

ラストわずかな時間で猫達が場内を回って握手をしてくれますが、今回私は
真っ白な猫ヴィクトリアと握手できました。

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2004年12月29日

四谷シモン「病院ギャラリー」

「病院ギャラリー」
四谷シモン:著  発売:心泉社  編集・発行:メディアプロダクション
定価:本体1900円+税
関連記事掲載雑誌:「htwi(ひってぃ)」2001年12月号
(発売:メディアプロダクション)
病院ギャラリー

最近書店で目にして購入した本です。
2001年1月5日から2003年9月21日まで、愛媛県伊予三島市の閉鎖された
整形外科病院に人形作家・四谷シモンさんの人形15体が展示されたのだ
そうです。千葉県に住む私は、全く知りませんでした。
その頃なら、大阪・岡山・四国の琴平まで一人旅した時があったので知ってたら
立ち寄ったのですが・・・・。

本書は、その展示された様子を写真で紹介してくれてます。
当初は5年間展示する予定が雨漏りなどいろいろな事情により約2年で
終わることになったのだそうです。

記録を見ると、日曜日開館で予約制。
入館者は受付で「入院証」を受け取ってから展示スペースへ向かったそうだ。
展示スペースは元手術室や病室・検査室に薬品庫。
シモンさんの人形はどれもリアルに作られた人体で、彼らは首から下が素通しの
木枠だったり、無表情で胸を開いて内臓を見せてたり。

建物全体が迷宮空間と化していたらしい。
当時の写真を見れば見るほど、その異空間の中に迷い込んでみたかったと
悔やまれます。

今回はたまたま立ち寄った書店で「病院ギャラリー」と関連記事の載った
「月間ヒッティ」が並べて置いてあったので両方購入できました。
この雑誌自体、今まで知りませんでしたが幅広くアートを紹介してる
本のようです。

四谷シモンさんの公式HPです↓
http://www.simon-yotsuya.net/accueil.htm

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「第16回 澤登翠(さわとみどり)・活弁リサイタル」

「第16回 澤登翠(さわとみどり)・活弁リサイタル」@新宿・紀伊国屋ホール

12月29日(水)観てきました。
私も会員になってる「無声映画鑑賞会」の毎年12月29日に開催されてる
年末スペシャル版です。
この会では毎月1回、無声映画の活弁付き上映会が開かれてます。
もちろん会員でなくても鑑賞はできます。毎回2.3本の映画上映。
メインの弁士は澤登さんですが、他に1,2人の方が弁士を務めることもあります。
今年澤登さんは海外での活弁公演も多くこなされたそうです。

年末版は全上映の活弁を澤登さんが務めます。
ところで私が鑑賞会へ行くようになったのは滅多に観られない古い映画が観たかった
だけで、別に活弁付きの映画が観たかったわけではありませんでした。

「活弁」を知らない方がいらっしゃるしれませんが、古い時代に作られた無声映画の
上映の際に登場人物のセリフをしゃべり、状況説明をすることです。
セリフも状況説明も当時の台本が残ってるわけではなく、自分で考えるそうなので
大変なお仕事だと思います。
最近では時々NHK BSで澤登さんの解説(NHKでは活弁とは言ってない)つきで
無声映画の放送があります。ぜひチェックをおすすめします。

この日の上映は日本映画2本とアメリカ映画1本。
「白黒双紙」1929年(大正15年)作品 監督:曽根純三
「月形半平太」1925年(大正14年)作品 監督:衣笠貞之介
「狂へる悪魔」1920年(大正9年)作品 監督:ジョン・S・ロバートスン

☆「白黒双紙」
監督自ら書き下ろした作品で、正月映画として公開されたそうです。
西洋せんたく屋(今で言うクリーニング店)と炭屋は隣同士。
店の主同士は犬猿の仲だが、洗濯屋の娘と炭屋の息子は恋仲。
いろいろあったが何とか結婚にこぎつけたのに祝言の日、またもや父親同士は
大喧嘩。このままでは一緒になれないと恋人同士は駆け落ちを・・・・・。

楽しいドタバタコメディです。炭屋の息子を演じるのは杉狂児。
「うちの女房にゃ髭がある」という映画に出演・主題歌もヒットさせた当時一世を
風靡したコメディアンだそうです。
澤登さんの活弁も、今年話題のヨン様の事まで織り込んで熱が入ってました。

☆「月形半平太」
勤王の志士、月形半平太は薩長の併合のみが王政復古の唯一の鍵であると
日夜努力を続けるのであった。

なんと今回は英語での活弁。こういうのは私も初めて聞きました。
今年7月にサンフランシスコの無声映画祭で語った物の再演だそうです。
古き良き時代のチャンバラ映画としてこの作品が選ばれたのでしょうか。
時代劇を英語で説明するのはやはりちょっと無理があるようです。
これは弁士のせいではないでしょう。英語圏にない物を説明しなければならないのです
から。しかし、すこし笑えてしまうのでした。
名ぜりふ「月様、雨が・・・」が英語でどうなってたか?
すいません聞き逃してしまいました。

☆「狂へる悪魔」
スティーブンソンの小説「ジキル博士とハイド氏」の映画化です。
ジキル博士は博愛精神豊かで、研究熱心な青年医師。
ある時から自ら発明した薬をのみ身も心も醜いハイドに変身し、その時だけ
快楽をむさぼるようになる。
しかし薬の乱用で薬を飲まなくてもハイドに変身していまうようになり、ついに
殺人まで犯してしまうのだった。

なんといってもジキルとハイドの一人二役を演じるジョン・バリモアは必見です。
美しい美貌のジキル博士から、醜いハイドに変身するシーンは今のようなCGなど
ないのに鬼気迫るものがあります。
正反対の性格の人物、二役を演じきってるバリモアはすごいです。
弁士の澤登さんも大変だったことでしょう。
澤登さんの活弁も名作映画にふさわしく、文学的で格調高いセリフ回しになってた
気がします。

ちなみにこのジョン・バリモアは「チャーリーズ・エンジェル」でもおなじみの
ドリュー・バリモアのおじいちゃんです。

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2004年12月26日

「農夫ジャイルズの冒険・トールキン小品集」

「農夫ジャイルズの冒険・トールキン小品集」
評論社発行  定価:本体1900円(税別)
J・R・R・トールキン:著  吉田新一、猪熊葉子、早乙女忠:訳
ポーリン・ダイアナ・ベインズ:挿絵

「指輪物語」の作者、トールキンによる短編集です。
収録作品は「農夫ジャイルズの冒険」「星をのんだかじや」「ニグルの木の葉」
「トム・ボンバディルの冒険」です。

以下、簡単に内容紹介と感想です。
☆「農夫ジャイルズの冒険」
のどかなハム村に道に迷った間抜けな巨人がやって来た。
畑をめちゃめちゃにされて怒ったジャイルズはラッパ銃で見事巨人を追っ払う。
そんな武勇を武勇を買われ、竜退治までするはめになります、が・・・・。

トールキンが「指輪物語」を書き上げた後に書かれて物語らしいです。
読んでると話のあちこちから「指輪物語」の世界がちらちら見えてくるような
感じでした。とはいっても緊張感のある「指輪物語」とちがって軽くて明るい
楽しいお話しです。
トールキンも10数年かかった「指輪」から解放されて、のびのびと楽しんで書い
ようすがうかがえます。
ポーリン・ダイアナ・ベインズによる竜は愛嬌があって可愛いです。

☆「星をのんだかじや」
子ども祭りのケーキには「妖精の星」が入っていた。
知らずに星を飲み込んだのはかじやの息子。彼はやがてかじやとなり機能的で
美しい品物を作るようになりました。そして彼が歌いはじめると誰もがその歌に耳を
傾けるのでした。
また彼は自分が妖精の国へ自由に入って歩き回れる特権を持ってることに
気が付くのでした。

かじやは大冒険をするわけでも、竜退治をするわけでもありませんが
私にとって、この小品集では一番好きなお話しでした。
妖精の国との出会いと別れを、描いた秀作だと思いました。

☆「ニグルの木の葉」
画家のニグル。描きかけの絵がいくつもあった。
なかでも木の葉の絵がなかなか完成できなくて絵はどんどん大きくなってしまい
それでもまだ完成しなかった。
ニグルは人に親切だったが、親切にした後で自分に悪態をつくことが多かった。
ある日、急に旅立たねばならなくなった。絵はまだ完成してないのに・・・・・。

なんだかちょっとシュールな感じのするお話しです。後半などカフカの「審判」を
連想しました。
トールキンがこの話を書いてたのは1938−1939年頃だそうで「指輪物語」の
執筆中と重なります。
なかなか絵を完成できないでいらだつニグルと、「指輪物語」のスケールが
大きくなって、完成できるかどうか頭を悩ましてたトールキンの姿が重なって
見えてきました。

☆「トム・ボンバディルの冒険」
16編の詩集です。トムが登場するのは3編。
第1編目の表題作「トム・ボンバディルの冒険」では川の精の娘、ゴールドベリとの
出会いが語られます。

「指輪物語」でも「旅の仲間」のはじめの方に登場するのがトム・ボンバディル。
映画版ではここのエピソードはばっさり切られてます。
原作を読んでもこの部分は他の部分とはかなり異質な感じがしました。
どうやらすでに作ってあったお気に入りのキャラ、トムを「指輪物語」の中に
いれた、ということらしいです。
「指輪物語」を読んだときはホビット達に親切にしてくれるトムとゴールドベリ、
この二人が親子なのか?夫婦なのか?単に同居人なのか?とよくわからな
かったのですがこの詩を読むと、トムがゴールドベリを捕まえて口説いて結婚
したことがわかります。
7編目の「小さな王女さま」はトムは登場しませんがポーリン・ダイアナ・ベインズ
の絵も詩も美しい小品でした。


本書に収められたトールキンの作品はすべてポーリン・ダイアナ・ベインズの
挿絵が付いていて、作品ごとに絵柄を変えていますが物語の雰囲気と
よくあったものになってると思いました。

<1月16日追記>
トールキンの初期作品「仔犬のローヴァーの冒険」の注釈を読んでいたら
「農夫ジャイルズの冒険」の物語は原稿段階では「仔犬の・・・」を書いてた頃と同じ
頃に書かれているという記述を見つけました。
とすると「ジャイルズ」は「指輪物語」を書いた「後」ではなくて「前」ということに
なりますね。
「農夫ジャイルズの冒険」が「指輪物語」の後で書かれたらしいと私が書いたのは
翻訳者の解説から判断したからでした。

真相はどうなのかまだ未確認です(^_^;
posted by みどり at 02:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 指輪物語周辺 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年12月24日

創作お話「花を探しに」

「創作お話」は「まんがまんだら」の掲示板に遊びに来てくださった方から
「お題」を三ついただいてこれを元にお話しをつくってる「三題話」です。


「花を探しに」
(じんちゃん、ひじかたさんからいただいたお題「ゲルマン」「じゃがいも」
「ぞう」より)

昔々のその昔、ゲルマンの地でのお話。
少女ピアは、森を抜け向こうに見える高い山を目指して歩いていました。
食糧のジャガイモ数個と、護身用と獲物を捕るための矢筒背負い弓を持って。
その姿はまるで少年のようでした。

「あたしがあんな事言ったからだ・・・。」と、最後に許嫁パルの顔を見た日の
ことを思い出してました。
その村では、春になると次の春が来る前に許嫁と結婚するつもりの男は
森の奥深くにだけ咲く青い花を採りに行くのが習わしでした。
その花で白いショールを青く染め、許嫁に贈るのです。
婚礼の日、花嫁はそのショールをまといます。
染めた青い色が濃ければ濃いほど、花嫁は幸せになれると信じられていました。
春、数人の若者達が花を探しに村を出ました。

許嫁のパルに「お花たくさんとってきてね!」とピアは無邪気に言ってたのです。
数日後、出かけた若者達が次々帰ってくるなか、パルだけがいつまでたっても
帰ってきませんでした。
今年、若者達が持ち帰った花は誰もがいつもの年に比べほんの少しでした。

途中までパルと一緒だった若者に聞くと、花があまり見つからずパルは「山の方へ
行く」と言って止めるのも聞かず言ってしまったのだそうだ。
山の方の湖には男を惑わす妖精がいると信じられていたのです。
妖精は湖に近づいた男から命を吸い取って何千年も生きてると言うことでした。
話を聞いたピアはいてもたってもいられなくなり、パルを探しに行くことにしました。
と、いっても周りに話したら止められるのは確実なので、怖さに少し身震いしながら
夜中こっそり家を村を出ました。

村を出てから太陽が二度昇った日、ピアは小さな湖の前にいました。
湖面は静かに空の雲をうつしていました。
もしかしてここが妖精のすむところか?とも思いましたが恐いより疲れをいやしたい
気持ちの方が強く顔を洗い、水を飲みました。

一息入れてると何かがいる気配を感じました。
「可愛いお方。どこから来たの?」と、柔らかな声が聞こえました。
見ると水の中からすっと現れたのは美しい女の人でした。
美しいけど、人間ではないような邪悪な雰囲気もあります。
「どこから来たの?お疲れなら私の屋敷で休んでいらっしゃいな。」
とさらに優しい声で再び言いました。

びっくりしたのでピアは口がきけませんでしたが、この女が噂に
聞く妖精だと気が付きました。
黙ってるピアを見て、すっかり自分の虜になったと思いこんだ
妖精は「さあさあ、すぐに行きましょう。」とピアの両腕をとりました。
矢筒を背負ったピアを少年だと思ったのです。
妖精はピアを水の中に引きずり込み、湖の奥底へ向かいました。
水はとても冷たかったけど、不思議なことにピアはちっとも苦しく
ありませんでした。

湖の底には妖精のすむ屋敷がありました。
妖精はピアから手を離し、屋敷の中にピアを招き入れました。

「ほら、これすごいでしょう」と妖精が指し示す先には、ピアが今まで見た
こともない大きな動物がいました。
ピアは名を知りませんでしたがそれは「太古に生きてた象」でした。
妖精が昔、冷たい湖の底の方で氷付けになってる「太古に生きてた象」
をみつけて召使い達にこの屋敷の中庭に持ってこさせて飾ったのです。

屋敷の一室には妖精が連れてきた人間や動物たちが眠るように
立っていました。
妖精はこうやって自分の美しい獲物を眺めて楽しんでいたのです。
お腹がすいて「命」がほしくなったら、獲物から命を吸い取るのです。
妖精は、可愛い少年だと思ったピアをまずはここへ眠らせて置いておこうと
考えてました。この子の命はとりわけおいしそうだと思いながら。

並んでる人間の中にピアはパルの姿を見つけました。
目を閉じて立ってる姿はまるで死んでるようにしか見えませんでした。
ピアの心に怒りがこみ上げ妖精にねらい定めて弓矢を構えました。
「パルに何をしたの。パルの目を覚まして。」
その声を聞いて、初めて妖精は自分のまちがいに気が付きました。

「まあ、私をどうする気?」「彼、死んじゃったの?」
「今はただの抜け殻ね、私が命を取ったから。」「彼をもとにもどして」
「そうねえ、どうしようかしら・・・」
ピアと話してる間も妖精は矢尻の先から逃れようといろいろ考えていました。
この剣幕では命を帰してやらねば、矢から逃れられそうもない。
ここは素直に戻してやるか、ならば・・・・。
彼女は根っからのいたずら好きだったのです。

妖精はパルの頬に手をあて、目を閉じしばらくじっとしてました。
ピアは油断なく妖精に矢を向けたままでした。
やがてパルの頬に赤みがさし、目を覚ましました。
二人は再開を喜び合いました。

「急がないとあぶないわよ。」と言うことだけ残し妖精は笑って姿を消しました。
二人は気が付きませんでしたが妖精は庭へ出向き「太古に生きてた象」
にも命を与えていたのです。
これが二人を踏みつぶしたらおもしろい、と思ったのです。
永い眠りから目覚めた「太古の象」は、ここがとこかもわからず
そして安らかな眠りをじゃまされたことが気に入らずいらだち、目の前にいた
ピアとパルに向かって今にも踏みつぶさんばかりに突進してきました。

ピアとパルは屋敷の入り口に走ってゆき急いでドアを開けました。
外で出ると、来るときとは全く事情が違っていました。
来るときは妖精の魔法に守られていましたが、今度はそうではなかったからです。
体は何かに捕らえられ引っ張られるように浮かび上がっていきましたが
水は氷のように冷たく、体中が凍ってしまいそうでした。
息もできず、思わず水を飲み込みそうになるのを必至にこらえ、それでも
二人は互いの手を離さず堅く握り合っていました。
二人を追いかけていた「太古の象」も勢い余って屋敷の外ででてしまったので
同じ目に遭うことになりました。

やっと湖面に浮かび上がると岸辺に泳ぎ着き、二人はようやく清涼な空気を
胸一杯吸い込みました。
「太古の象」も浮かび上がりあっぷあっぷしてました。
「たすけて、おねがい!」と「太古の象」が言いました。
「お前は僕たちを踏みつぶそうとしたじゃないか。」
「だっていきなり起こされて、お尻をつねるんだもの」と「太古の象」
二人は泳いでいって「太古の象」を岸辺に引っ張り上げました。

二人に、とりわけピアに優しく介抱された「太古の象」はすっかりおとなしく
なりました。
お礼にと「太古の象」は二人を自分の背に乗せて、村まで送ってくれました。
「太古の象」はおいしいジャガイモをごちそうになりしばらく村に滞在しましたが、
昔々仲間と暮らした山の方が恋しいと山へ帰ってゆきました。
村の誰も知ることはありませんでしたが「太古の象」は山の万年雪のある
上の方で暮らしたそうです。

夏には、二人の婚礼が行われました。
花嫁のショールは白いままでしたが、二人は幸せに暮らしたそうです。

               □□□おしまい□□□


<2009−06−11追記>
「まんがまんだら」は公開を終了いたしました。
ご訪問ありがとうございました。
posted by みどり at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 創作お話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年12月22日

アニメ「Mr.インクレディブル」

アニメ「Mr.インクレディブル」吹き替え版@千葉県・松戸・シネマサンシャイン
監督・脚本:ブラッド・バード  日本語吹き替え出演:
三浦友和(Mr.インクレディブル)、黒木瞳(インクレディブル夫人)、他

12月22日(水)観てきました。
観に行く予定に入れてなかったのですが、何かと周囲の評判がいいのでこれは
自分の目で確かめねばと出かけたのです。
日本語吹き替え版だし、祝日の前と言うこともあってか夜の回なのに周りは
小学生だらけでした。
上映前の場内はお菓子をバリバリ食べる音と、そのさえずり声のにぎやかな
ことと言ったら!毎回ではイヤですが、たまにはこういう子供達と観て周りの
反応を見るのもおもしろいです。

<物語>
ボブはかつてスーパー・ヒーローのMr.インクレディブルだった。
スーパー・レディのイラスティ・ガールとして活躍していたヘレンと結婚し早15年。
高校生の長女ヴァイオレット、小学生の長男ダッシュ、末っ子でまだ赤ちゃんの
ジャック・ジャック、三人の子ども達も生まれていた。
政府のスーパー・ヒーロー制度廃止により彼らは引退を余儀なくされ、今は正体を
隠し一般市民として静かにくらしていた。
静かに普通の暮らしをしたいと願う妻ヘレンとは逆に、ボブはかつての栄光の日々が
忘れられないでいたのでした。
そんな頃、ミラージュと名乗る人物からスーパー・ヒーローとしての仕事依頼を受け
引き受けてしまうのでした。そして・・・。


全編CGによるアニメですが、このての物は年々技術が上がってきてますね。
スーパー・ヒーローだった頃のボブとヘレンのたくましく、スマートな容姿に比べ
結婚しお互いちょっぴり疲れた中年男女になってる様子をしっかり描いて
見せてくれてます。
CGの技術だけでなく、人物以外の小道具の使い方もうまいと思いました。
インクレディブル家の様子を見せてる時、普通ならティッシュペーパーを使うで
あろう食卓のシーンで夫婦はトイレットペーパーを使ってるんです。
すごい生活感、とってもよく出てますねえ(^_^;

冒頭こそスーパー・ヒーローの若かりし頃の活躍が紹介されてますが、中年夫婦の
会話疲れた会話が延々続くので、これって大人向けドラマ?と感じたくらいです。
周りで観てる子ども達も、とっても静か。
さすがに男の子ダッシュが走り回って活躍してるシーンでは、子ども達の歓声が
あがってました。

観に行く前に長女のヴァイオレットの存在感が薄い、と言う声も耳にしましたが
私にとってはこの女の子にはなんだか親しみを感じました。
自分に自信がもてなくて、好きな男の子とも目が合わせられなくて引っ込み思案。
顔を長い髪で半分かくして、いつもうつむき加減。
それが自分の超能力を使いこなせるようになると、だんだん自分に自信を持って明るい
表情になってくるのです。これはいいです。
インクレディブル夫人。よき母・よき妻であるけど、いざとなったら夫を助けに行く
その姿がたくましく、たのもしい。

シンドロームという悪役が登場しますが自分の信念に忠実で、これだけはっきり
した悪役というのも観ていて気持ちいいです。

マイケル・ジアッチーノの音楽は「007シリーズ」を意識してるように思えました。
エンディングのアニメと音楽はほとんど1950年代か60年代風で、今の時代から
みるとかえって新鮮でカッコイイです。

どのキャラも単純な性格づけではあるけど、最近のアニメではこういうのは
かえって新鮮なのではないでしょうか。
このアニメ、ヒーロー・ドラマかと思っていたら家族愛のドラマでした。
この世で一番のヒーローは家族を愛し、守っている「お父さん」である!と
いってるのですから。家族で観に行ったらお父さんは鼻が高くなれるでしょう。
posted by みどり at 00:00| Comment(4) | TrackBack(1) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年12月20日

「パイプオルガンの夕べ・東京芸術劇場クリスマスコンサート2004」

「パイプオルガンの夕べ・東京芸術劇場クリスマスコンサート2004」
@東京芸術劇場 大ホール
オルガニスト:小林英之、新山絵里、平井靖子
トランペット:山本英助  ハンドベル:恵泉女学園大学ハンドベルクワイア

12月20日(月)聴いて来ました。
このホールのパイプオルガンの音色を聴いてみたいのと、3階自由席券が
1000円という安さにつられ前売りチケット購入しました。
こちらのパイプオルガン、演奏者からひいてない音が出てしまうというクレームが
出たり、設計上のミスがあるとかいろいろ言われているようです。

クリスマスにちなんだ、おなじみの曲をいろいろ聴かせてくれました。
プログラムは前半は「天なる神にはみさかえあれ」「トランペット・ヴォランタリー」
「クリスマスキャロル・メドレー」
後半は「カンタータ・いざ打てかし、願わしきときの鐘よ」「組曲くるみ割り人形から」他

「くるみ割り人形」を聴いて、改めてパイプオルガンは調整によっていろんな音色が
表現できる楽器だと思いました。
山本英助氏のトランペットも良かったです。
そして今回は、ハンドベルの優しい音色にすっかり魅せられました。
普通の楽器ならその一つの楽器でメロディーが奏でられるのに、ハンドベルは手に
持ったベルをならすだけですから一人でベルを持ち替えたりしても、2,3音しか出す
事ができない。
数人がかり(数えてなかったのですが16,7人いたと思いました)で、やっと
メロディーを紡ぎ出す。チームワークがよくなければとてもできません。

今回のコンサート、満足度から言うとどうもちょっと考えてしまいました。
値段1000円だしこれで贅沢言う方が無理。席だって3階ですし。
でもパイプオルガンのせいなのか?演奏者の腕のせいなのか?少し不満が
残りました。なんだか音がきれいに聴こえてこなかったのです。
うまく表現できないのですが、何となくオルガンの音がばらけてるような、
まとまってないような印象を受けました。
あえて点を付けると65点から70点といったことでしょうか。

こちらのパイプオルガンは「ランチタイム・パイプオルガン コンサート」と言うのを
奇数月の第3木曜日(例外あり)に実施しているそうです。
入場は無料。1時間弱の演奏会らしいです。
次回は 2005年1月20日(木) 12:15(開場11:45)だそうです。
詳しくはこちらで↓
http://www.geigeki.jp/saiji_002.html
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2004年12月17日

「ア・ラ・カルト 役者と音楽家のいるレストラン」

「ア・ラ・カルト 役者と音楽家のいるレストラン」@東京・青山円形劇場
2004.12/3−12/26
演出:吉沢耕一  構成:白井晃  台本:高泉淳子 音楽監督:中西俊博
出演:白井晃 高泉淳子 陰山泰 ROLLY(ローリー)

12月17日(金)観てきました。
毎年12月になると楽しみなのがこの「ア・ラ・カルト」公演。
今年で開店16年目になるそうです。

クリスマスの夜の1軒のレストランが舞台。
やってくるさまざまなお客達の人間模様を垣間見て、レストラン専属の演奏家の
演奏を楽しむと言うのが「ア・ラ・カルト」公演の枠組み。
出演者は白井・高泉・陰山の3人は固定メンバーで、他に毎年違う誰かを1,2人
招いて出演してもらうという形を取ってます。
音楽監修とバイオリンの演奏も毎回同じ中西さん。
円形場内の一方に演奏家達(ピアノ・バイオリン・バス・ギター)がひかえ、中央に
舞台を作りそれを取り巻くようにほぼ円形に客席が設置されてます。

冒頭、レストランの支配人(白井)が登場してご挨拶。
店員達が急いでテーブルの用意をはじめていよいよレストランの開店、この公演の始まりです。
店員は陰山さんと男装の高泉さん。高泉さんの男装は少年のようにも、変な
おじさんにもみえます。もちろんそれが魅力にもなってます。
恋人に振られたけど、一人でふらりとやってきた女性客。
独身主義者のクリスマス会やら、お店のオーナーのマダムジュジュやら、父と小学生
の娘、老夫婦などいろいろな人がやってきてレストランの中はてんやわんやの大騒ぎ。
レストランのショータイムでは専属歌手達が次々登場。
もちろん出演者4人が華麗(^_^;)に変身して、華麗な、あるいは笑える歌を披露
してくれます。
やがて夜も更け、お客も帰りお店は閉店。


レギュラーメンバーの三人とプラス一人はとっかえひっかえいろんな人物になって
登場します。性別さえも簡単に変えられるのですから見事です。
音楽も優しく楽しいメロディーばかり。
こんなに楽しいエンターテイメントを見せてくれる人達、今の日本でなかなかいない
と思えるのです。

今回の助っ人のLORRYさんはご存じの方も多いと思います。
最初はミュージシャンとして活躍してましたが最近は演劇公演にもよく出るように
なってます。
レギュラー出演としてはNHK教育の金曜日19時からの「金曜かきこみTV」の
司会をやってるそうです。・・・・そうです、と書いたのは私は観たことがないから
です。(そもそもこの時間帯、家に帰ってることはまずないので)
私、個人的にはシャンソン歌手としても活躍してる人、と言う印象があります。
一昨年、去年と続けてみてきた渋谷・パルコ劇場での公演「喝采」は「女装の麗人
がシャンソンを歌う」と言う設定で行われたシャンソンコンサートでした。
女装のLORRYさん、それはそれは美しかったです。

LORRYさんの個性の強さ、歌のうまさ、女装の時の美しさはすごいものがあり
助っ人と言うより、いつものメンバー対LORRYさんとのコラボレーションと言った
方がいいでしょう。
ショータイムで女装でパッと現れたときなど場内「オオーッ」とどよめいたくらいです。
この時はシャンソンの名曲「愛の賛歌」を熱唱してくれました。
今回は芝居の中でLORRYさんのスーツの普通のサラリーマン姿が見られるのも一興。
ここ数年の「ア・ラ・カルト」の中では最高の舞台と思えました。

LORRYさん、今年の12月は「ア・ラ・カルト」主演の為パルコ劇場の公演を
やらなかったので来年2月25日、26日にパルコ劇場公演をやるそうです。
「ローリー博士の異常すぎる愛情とその影と光」
シャンソンコンサートではないようです(^_^;

追記
「ア・ラ・カルト」公演の出演者、白井・高泉・陰山の3人と演出の吉澤、
小道具担当のちばあけみ、は今はもう解散してなくなった劇団「遊・機械全自動
(ゆうきかいぜんじどう)シアター」の主要メンバーでした。
白井さんは、俳優業だけでなく最近はお芝居の演出も多くされてます。
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2004年12月16日

「ゲルマン、ケルトの神話」

「ゲルマン、ケルトの神話」
みすず書房:発行  トンヌラ・ロート・ギラン:著  清水茂:訳

トールキンが描き出した「指輪物語」「シルマリルの物語」は彼が親しんだゲルマン
世界の古い物語からの影響がある、と言われてるのを知りました。

ゲルマン・・・・と聞いて私の頭に思い浮かぶのは「ゲルマン人の大移動」だけ。
しかも何のことだったのかすっぱり忘れてる(^_^;)
そもそも歴史と文学は大嫌いな私でした。
ゲルマンというと今のドイツからスカンディナヴィア諸国のあたりとか。

ゲルマンのことを手っ取り早く知るために適当な本はないかと図書館のパソコン
で検索して出たのが本書。
1935年フランスで出版された物を1960年に翻訳出版(初版)された物です。
前半はゲルマンの神話について、後半はケルトの神話について系統的に
書かれていました。
現在のヨーロッパはギリシャの思想と芸術、キリスト教と言う土壌の上にあるけど
ゲルマンとケルト古代社会の文化はこれらに対して優位を保ちえなかったということ
のようです。なぜなんだろうか・・・。
「指輪物語」も「シルマリルの物語」もキリスト世界とは違う世界を描き出そうとした
ものらしいし、確かにそう感じます。
消えてゆくゲルマン・ケルト世界と、「指輪物語」の舞台・中つ国がやがては消えて
ゆくようすがなんとなくダブルのでした。

印象に残った話にこんなのがありました。
ある月の明るい夜、誰かがドアをたたく音を耳にした男。
そのようなことがあっても決して家の外に出てはならぬと注意されてたにもかか
わらず迂闊にも出てしまう。
彼は北方からくすんだ色の馬にまたがった九人の黒衣の女達が、手に剣を持って
駆けつけてくるのを見る。
南方を見ると、明るい色の衣をまとった九人の女達が、白馬に乗って迫って
くるのを見る。
彼は急いで家に入ろうとするが時すでに遅く、黒衣の女達が追いつき彼に致命傷を
与えたのだった。

馬にまたがる九人の黒衣の人物・・・・これは「指輪物語」「ロード・オブ・ザ・リング」
に登場するフロド達を追うナズグルをもろに連想しました。

ごくごく一般の読者に神話世界をわかりやすく解説しようとするせいか、逆に
もっと神話の原点に近い物を読んでみたいというもどかしさを感じる本でした。
posted by みどり at 02:09| Comment(2) | TrackBack(0) | 指輪物語周辺 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年12月15日

「田川啓二の世界・オートクチュールビーズ刺繍展」

「田川啓二の世界・オートクチュールビーズ刺繍展」@東京・日本橋三越
新館7階ギャラリー       12月14日(火)〜12月19日(日)


12月15日(水)観てきました。
ビーズアクセサリーは大好きで私も時々自分で作ります。
材料と説明書付きのキット利用なのですが、費用の割に豪華な雰囲気の物が
作れるので気に入ってます。
今回はビーズと聞いて、てっきりビーズアクセサリーの展示と思いこんで行ったの
ですが違ってました(^_^;)

ビーズを使った刺繍なのです。
作者の田川啓二さんはTVや雑誌にもよく出る方らしいですが失礼ながら全然
知りませんでした。1958年生まれ。
パリのショーウインドーで一着のビーズ刺繍のドレスとの出会いが、オートクチュール
ビーズ刺繍に興味を持った始まりだったそうです。

展示の最初の方は一枚の絵のように見えながらそれらは細かな色とりどりのビーズで
一面埋め尽くすように縫いつけて描きだした物。間近に見るとビーズの形もいろいろ。
平ぺったい物、丸っこい物、細長い物、などなど。
こういう材料でこういう表現方法もあったんだ、と今更ながら気がつきました。
これらの作品を作り出すための根気を考えるとめまいを覚えます。

展示の半ばは、有名な絵画作品をビーズ刺繍で表現した物。
最初の展示を観た後では、すごいけど模写よりオリジナルを見せて、と言う気分に
なりました。

展示の後半は豪華なドレスにほどこされたこれまた豪華なビーズ刺繍。
ドレス自体も着物の生地を使ったもので、それだけでもユニークできれいなのですが
さらに生地や染めの模様を生かしつつ、ほどこされたビーズ刺繍はまるで星屑を
ちりばめたように美しい物でした。

こういうのを見ると私もアクセサリーを作った後でビーズが残ってるのをとっといてる
のでこれを使って白のシンプルなブラウスの襟元にちょっと刺繍してみたらいいかも
しれない・・・・・などとふと思いました。
思っただけで本当に実行に移すかどうかはわかりませんが(^_^;

作者田川啓二さんのプロフィールを見たら明治大学法学部卒業だそうで
これまたびっくりでした。
posted by みどり at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術・展覧会・イベント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする